図書館休館「研究に悪影響」 大学生ら9割、継続困難と訴え
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大学教育だけではなく、学術研究が受けている制限も甚大なものです。分野にもよりますが、30ページの論文を書くのに100冊の本を読む必要があるということはごく普通にありますが、それらの本は、自宅にあるわけではなく、大学の研究室や図書館、国公立の資料館、他大学の研究所などにあります。国会図書館に頻繁に通って資料を読むという人も少なくないでしょう。それら全てがアクセスできません。外国の図書館や資料館にしかないとなると、今はさらに難しいです。
人類学者などが外国にフィールドワークに行くということも今はできません。修士論文や博士論文の価値を高めるためには必須のフィールドワークや外国での資料収集が、どうしてもできそうにない、という大学院生も多いです。
出版されている本については、電子化である程度は入手できます。学術書は、中小の出版社による千部程度の発行、という場合も多く、電子化はされていない本も多いです。しかし、世界的な大手、Routledgeとか、Springer、Oxford University Press、それに医学や科学技術の本が多いElsevierなどは、ほとんど電子書籍化されています。
学術書の電子書籍は高価で、1万円を超える本も多いです。大学によっては、出版社と契約していて、教員や学生がその会社の電子書籍を利用できるところもあります。この契約も、毎年かなりの予算が必要です、
東京大学
https://vs2ga4mq9g.search.serialssolutions.com/
京都大学
https://tt2mx4dc7s.search.serialssolutions.com/ejp/?libHash=TT2MX4DC7S#/?language=en-US&titleType=ALL
などは、学外からでも利用できる電子書籍・雑誌が相当にあります。これでも研究に十分ということはないでしょうが、ここまで教員・学生が無料で電子書籍・ジャーナルにアクセスできるようになっている大学は、日本にはほとんどないでしょう。大学生にとって講義もまあ重要ですが、講義なんてものは勉強の指針を与える程度のもので、勉強の本文は自学自習にあります。
(京大で、毎回出席すると不可になる講義もありました)
その意味で、大学の学費とは、授業料というよりも、図書館とオンラインで論文をダウンロードできるアクセス権に払っていると言っても過言ではなく、在宅でオンライン講義が受けられるだけでは全くもって不十分という学生の言い分はごもっとも。
特に人文系は本屋で買えないor買うと超高額な資料が多いので、勉強や研究が不可能というレベルになっている人も多いと思います。
なんとか、司書さんだけでも出てもらって、配送で対応するなどできないものでしょうか(これはこれで大変だとは思いますが・・・)