【スタートアップ用語考】ユニットエコノミクスについて考える
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顧客1人当たりの採算性を表す指標のことを「ユニットエコノミクス」と呼びます。製造業において限界利益が重要な指標であるのと同様、SaaSに代表される継続課金型のサービスモデルでは、ユニットエコノミクスは極めて重要な指標です。
通常、ユニットエコノミクスはLTV(Life Time Value。顧客生涯価値)に対してどの程度のCAC(Customer Acquisition Cost。顧客獲得費用)を要しているかによって、その効率性を見定めます。
この点、LTVはあくまで現状が継続することを前提とした推計値に過ぎないことに注意が必要です。通説として「LTVがCACの3倍以上であることが健全なユニットエコノミクスの目安」と見なされているのは、LTVがあくまで推計値であることを加味した上で、経験則に余裕ある数値が仮置きされているからなのでしょう。朝倉さんがコメントされている点と重なるが、CAC(顧客獲得コスト)とチャーンについて、難しいのが、時間・セグメントとともに変化していくことだと思う。
例えば初期顧客はものすごくPMFしているから未成熟のプロダクトでも買ってくれたり、あとは「お願い営業」が効く知人・友人で、CACやチャーンが様々な要因で異様に低いかもしれない。
また、一定初期顧客を取り切ると、サチる。だから新しいマーケットに行くが、その時にはいったん顧客プールが広がるから広告単価などCACは下がってもチャーンが上がったり、逆にまだPMFしていないから単価下がっても獲得効率が下がってCACが上がるとかもある。ちなみにここらへんについては①の佐久間さんの記事がオススメ。
なので、LTV・CAC・チャーンなどはあくまで概念変数だし、そのなかに色々なセグメントがあって数値の変わりやすさはセグメントによって違う。②のAkiさんの財務記事でも色々な話があった点で、理論と現実、それを埋めていくのが現実の経営・事業だし、それに必要なのは様々な経験やコンテキスト、あとは当たり前だが執行力。
①https://newspicks.com/news/3277565
②https://newspicks.com/news/4848794事例も掲載されており、わかりやすい解説。
理論上はLTV/CAC > 3xならば、投資により顧客を獲得する事を優先すべきとなりますが、ARPUもチャーンレートも現時点における推測であるという点が注意点です。ビジネスモデルによっては、コロナショックによって、これまでの各KPIと今後が分断されるリスクもあるため、投資判断含めてあらゆる点で再検討が必要な局面だと思います。