2025年の半導体は「2nm」世代へ、TSMCが研究開発開始の報道。微細化技術で他社を先行
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今の最先端は7nm、それの1/3。CPUなどは回路構造が計算を実現させているのだって、乱暴に言ってしまえばそれが大きくても小さくても同じ計算性能が出せる。そうすると細かく(微細に)回路が書かれていれば、必要なシリコンウエハの面積も小さく、また回路の長さも短くなるので省電力性が上がる。
半導体業界は、基本的に4つの構造分業で、装置を作る企業、材料を作る企業、半導体を製造する企業、半導体を設計・販売する企業。
TSMCは半導体を製造する企業で、Qualcommなど半導体を設計する企業を顧客としている。Intelなどは製造・設計・販売を自社で全部やっている(Integrated Device Manufacturer)。自社では設計せず製造だけに特化するTSMCのような企業はファンドリーと呼ばれ、TSMCは圧倒的なトッププレイヤーで、Samsungが続く(SamsungはIDMとファブレスの両面を持つ)。
2nmを作るには、まず一番重要なのは装置。なかでも露光装置で、昔はニコン・キヤノンが強かったが、ASMLというオランダ(というか欧州連合に近い、例えばレンズはZeiss)企業が今は完全なトップ。7nm以下は回路を描くためにEUVという光を使う場合がほとんどで、EUVはASMLしか作っていない。
でもお金が極めてかかる。そのなかでTSMC・Samsung・Intelの3社が製造側ではトップで、ASMLのEUV研究開発に出資もしている形。
そういう構造になっているなかで2nmの研究はバリューチェーンのいずれもが取り組むことが必要。ただ一番のキーは露光装置だし、それと材料やプロセス(ファンドリー・IDM)を調整していく。装置を買えばできるようなレベルでは全くない。XXnmプロセスとかいうのは商品名みたいなもので、各社基準がけっこう違うので数字ほどtsmcが先行しているわけではないです。たぶん、EUVでSAQPとかすればこれくらいの微細化はできるんじゃないかな。だったら、試すだけならそんなに難しくはないし、量産化もできそうな領域。
問題は経済的に成立するかどうか。EUVはArFのSAQPで必要な大量の成膜、エッチング装置を不要にする点に経済的メリットがあったはず。つまり微細化トレンドとは異なる動機。
EUVでSAQPとなると、設備投資が増えてもデバイス微細化でそれ以上のメリットが得られる、という微細化トレンドの話になってくる。過去はそれで進んできたけど、そろそろ天秤が反対側に傾くかも。ほんとに2nm量産するか注目。