「所得格差 大きすぎる」が約70% 20年前より増 NHK論調査
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2017年「ザ・スクエア 思いやりの聖域」
2018年「万引き家族」
2019年「パラサイト 半地下の家族」
過去三年のカンヌ国際映画祭のパルム・ドール受賞作です。これに加えて「Joker」「天気の子」のヒットも記憶に新しいです。
映画はしばしば世相を反映しますが、あからさまなくらいに社会の注目が相対的貧困に向いていることを示す例です。
注目のコメント
理由は簡単だと思う。20年前はマスコミは静かだったけど、近年「格差社会だぁ」と叫んでいるからだ。印象というのはマスコミの力でいくらでも変わる。怖いのが、そこにポピュリズムがつけ込み扇動することだ。気をつけたい。
1と0との間で大きいほど格差が酷いとされる日本のジニ係数は、直近でデータがある2017年に0.34で、米国の0.39、韓国の0.36より低い世界第16位です。1999年近くでデータがある2000年も、同じく0.34で、世界で第7位でした(IMF統計)。少なくともジニ係数上の格差は我が国では開いておらず、格差拡大が続く世界の中で、相対的には平等化の方向に動いています。そんななか、どうして格差が意識されるのか・・・
生活が改善して豊かさが増している時は、人々はそれほど格差を意識しないはず。生活が苦しくなって先の展望が開けない状況だと、人々の目が格差に向きがちになるように思います。1999年の日本の一人当たりGDP(≒一人当たりの所得の源泉) は36,039ドルで、世界で第4位でした。それが2018年には39,304ドルで世界第26位まで落ちました。この間に米国の一人当たりGDPは34,495ドルから62,869ドルに増加し、韓国は10,755ドルから33,320ドルまで増えています。日本人の所得の極端な停滞は明らかです。
つい20年ほど前まで、日本人は米国をも凌ぐ圧倒的に豊かな国民でした。アジアの中では並ぶものもない状況です。それがいまではアジアの中ですらシンガポールと香港に抜き去られ、世界で見ると完全にBクラスに沈んでいます。日本で格差が注目を浴びることになった背景には、残念ながら日本のこの衰退がありそうです。そうだとすると、日本を成長軌道に戻し、皆が希望を持てるようにしない限り、雇用制度の見直しと再分配だけで格差意識を消すことはできません。
かつて日本が豊かだったのは、“職人技”を持つ製造業が圧倒的にモノづくりに長けていたからです。ところがIT革命が進むなか、日本はモノづくりから情報が勝負を決するデジタル世界への移行に乗り遅れ、豊かさを失って行きました。新型コロナウイルスが去った後、世界はデジタル化からデジタル・トランスフォーメーションへ進むでしょう。既存のものをデジタル化するにとどまらず、ICTの技術とビッグデータがあらゆるものを変える世界です。そこで出遅れたら格差意識がますます広がります。雇用制度の見直しも適切な再分配政策ももちろん重要ですが、我が国を成長軌道に戻すことこそが、格差意識を解消する最良の道であるように感じます。