米銀2行の決算、貸倒引当金が重し 先行き悪化リスク
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JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは米国の金融業界を代表するカリスマ経営者です。リーマン危機を生き残った数少ない銀行のトップでもあります。私も彼の話が聞きたくて、毎年JPモルガンのコンフェレンスに参加していました。ストレートな物言いで、かつ本質をついていて、いつも勉強になりました。ダイモンCEOは、過去10年間一貫して景気に対して強気でした。万年強気と言ってもいいくらいでしたが、マクロ経済の見立ては正鵠を射ていました。その彼のメッセージが、初めて変わりました。
「今回の不況はかなりたちの悪いものになる」「当行の今期の業績は、大幅な減益を避けられない」クレジットカード関連と石油・ガス向けの債権を中心に一気に貸倒引当金を積んだJPM。さっとみるところ、カードローンの3月末残高1540億ドルに対して149億ドル積んだことになり、算定根拠・過去との比較・彼らの債権の質を点検できてはいませんが、まずはそれなりに積んだと言うのが第一印象です。
決算シーズン皮切りにしっかり引き当てを積んで、他の銀行に先鞭をつける。トップ企業らしい決算だと思いました。JPモルガンチェースの1Qは、与信費用が82億ドルと、殆ど1兆円に上りました。これは、リーマンショック後の最高の9年1Qの85億ドルにほぼ匹敵し、前年同期の6倍です。
まだ3月末時点で実際に倒産した企業や個人が急増しているとは考えにくく、予防的に引き当てたと思われます。さすがトップ銀行の余裕、とも思いますます。
しかし、これで終わりとは到底思えず、これからが試練でしょう。株価も、想定以上のロスとして発表後下落しました。
救いは、自己資本の健全性。リーマン当時の1.6倍くらいありますので、まだまだ余裕があると思われます。
因みに、邦銀の費用計上にはラグがあるので、この3月末このようにでしっかりと計上する銀行は殆どないでしょう。