【新社長】コロナ危機でも、スマホが製造できる理由
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これからの村田製作所を引っ張る、つまり、日本の電子部品業界の顔になるであろう中島次期社長にご登場いただきました。
村田のアナリスト説明会などに出席すると、同社の事業の業績だけでなく、「秋発売のスマホ (iphone新製品のこと)の需要の盛り上がりはどうか」、「5Gの普及見通しに変更はあるか」、「EV市場が低迷していないか」といった質問も多く出ます。
世界シェアトップの電子部品を手がける村田の動向から、スマホの進化や、5GやEVの市場動向をつかめるからです。
今やスマホも5Gも、最先端は日本ではなく、中国など海外です。では、日本でそうした分野の先端動向をつかめないのかというと、完全にそうなのではなく、そこに使われている装置や部品を手がける日本企業に訊けばいい。その一社が、村田です。
今回はサプライチェーンを中心に話を展開させていただきましたが、同時に、村田が高い利益率を出し続けているのか、その一端ものぞけました。
と言いますのも、高い技術があっても、ある会社の「下請け」状態のため利益を稼げない企業がある。ましてや、世界シェアトップクラスの製品を持っているにもかかわらず、赤字の企業すらあるからです。
そうした中、顧客戦略含めたしたたかさあってこそ、技術は活きる。こうした村田の経営巧者ぶりもご参考にしていただければ幸いです。初稿チェッカー
・初の創業家以来→初の創業家以外
さて、村田製作所はとても堅実な会社なので、こういう危機対応も板についており、落ち着いているんですよね。実際のところ、サプライチェーンで大きな問題が起きているか？というと台湾や中国、韓国はうまく対応できているし、日本も工場が地方に多く、地方ではそこまで感染拡大していないので、冷静に対処できている。
今回はまさにロックダウンによる東南アジア諸国の組立であるとか、欧米諸国の購買意欲下落のほうが懸念材料としては大きいだろう。５Gの通信基地局の普及自体には影響しないかもしれないが、端末の普及には暗い影を落とすだろう。また、高単価なスマホや自動車は販売に陰りが出るだろうし、MLCCの自動車への展開が多い村田製作所にとっては現在の「自動車が全く作れず、売れず」の状態は必ず大きなネガティブインパクトになるはずだ。
村田製作所で言えば、５G関連のメトロサークへの読みなどはぜひ深掘りして聞いてほしかったのと、あとは、後半で中島専務が水を向けているが、村田製作所らしからぬ新規事業の仕掛けの中身やアプローチについても深掘りしてヒアリングするとまた面白い側面が見えるのではないだろうか。
追記
ご本人からlikeを頂いて驚いた、NPアカウントお持ちなんですね…！電子部品を10年以上見てきた身としては、ぱっと見では分からないが実際にはとても重要な電子部品業界や村田の端的な特徴・強さが様々なところで窺える、読んでいて首肯ばかりするインタビュー。
足元で、サプライチェーンの混乱は今のところないというのはGood news。ただ今後は需要サイドが論点だと思う。自動車は明確に影響を受けるだろうし、スマホも5Gで再度値上げを進めようとしていたのは少し厳しくなり、交換サイクルの長期化をひっくり返すのは数年先になりそうだと思っている。
マルチサプライヤーについても極めて分かりやすい。シングルサプライヤーのものは、それだけ高付加価値だったりカスタマイズされている。部品メーカーは顧客に左右されるし、顧客は部品メーカーに左右される。だから運命共同体だしハイリスクハイリターン。それゆえ、その部品を使うことが差別化にどういう影響を与えられるのかが重要。そして同じ電子部品でもMLCCと、パネルや電池といったプロセス系産業でのどこまで違く見えるかという話も興味深い。
そして電子部品という「機能財」においても、結局商談では雑談などが重要というのもリアルだろう。特に今後の開発戦略は、要件もまだ互いに決まり切っていないから、雑談的になるのだろうなぁと想像。
