米産油量、一時的に日量200万バレル減 原油安受け操業縮小=エネ省
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市場に任せた200万バレル減の見通し。元より米国政府に個別の中小エネルギー企業を救済する考えがあるのかすら微妙ですが、最低でもそれくらいは潰れるでしょう。2015年の価格下落時でもそれくらいはありましたが、ほぼなんの対策もありませんでした。
これまで、4月の世界原油需要減の見通しは、
ゴールドマンサックス(Jeff Currie and Damien Courvalin)
1850万バレル/日
→2600万バレル
IHS-CERA(Daniel Yergin)
2000万バレル
IEA(Fatih Birol)
2000万バレル
→2500万バレル
となっていたが、ここに来てEIAが3000万バレル/日の減少との見通しを発表。アメリカと中国の石油消費量を合わせて3400万バレルなので、その両方の需要が1月で消え去ったほどのインパクトになる。
私が一昨日投稿した記事では、かなり大目に見積もって2600万バレルの数字を使い、「ちょっと煽り過ぎたかな」と心配していたくらいだったが、そうでもなくなって来て恐ろしい。
https://newspicks.com/news/4794571/
米、サウジ 、ロシアの3カ国の原油生産量を合わせても3500万バレル/日程度しかないので、もしこの3カ国で需給ギャップを埋めるには全部生産停止しても届かない。議論されている1500万バレルの減産をすれば、この三カ国は生産量を半減させなければならなくなる。
これは誰を守るための議論なのか。価格はすでに崩壊し、1929-34年に起きた供給過剰による90%下落(2ドル/バレルから25セントへ)に次ぐ事象だが、すでに価格を支えるためというよりは、国家間を超えた将来のインフラたる石油開発事業を支えるための戦いになっている。
日本人にとって、石油産業は斜陽産業であって、他山の石かも知れないが、現在もエネルギー供給の9割近くが化石燃料であって、しかも現在の生活を支えている物流を含む輸送のためのエネルギーの殆どすべてが石油であり、決して他人事ではない。
世界の石油需要が3割もダウンしてしまうという未曾有の事態を受けて、単に企業の淘汰というレベルを超えて、世界が石油供給インフラを今後どうするのかを考えるべき時に来ている。サウジの増産によって、原油市場は確か日産2000万バレル過剰な状態。またさらにコロナによって経済活動が止まっているので、需要サイドの減少によって実際の需給はもっと供給過多の緩んだ状態。
その中で米国は、記事にあるように1200万バレル/日の生産量で、そこからの200万バレル/日の「自然減少」という見方。
ロシアなども含めたOPECプラスでは1000万バレル/日程度の減産が意識されているが、過去10年で世界の原油市場で増えたのは米国のシェールで、減産合意のためには米国も加わる必要があるという交渉がされているのが文脈(①)。
一方で、米国としてはこの状況で合意をすれば、政府として自国のシェール企業を殺すことになる。だからトランプ大統領は「減産はOPECから求められていない」(②)といった発言をしているのだと思う。
一方で供給過剰を解消しないことにはどうにもならない。そしてEIAの報告書で「自由な市場原理が減産につながる」という表現になっているのだろう。市場原理という話を持ち出すということは、シェール企業の一部の倒産は許容するというメッセージともとらえられる。
①https://newspicks.com/news/4796505
②https://newspicks.com/news/4796960ノルウェーはG20でもOPECプラスでもないのに、減産の用意があると発表しており、えらい! 日量2000〜2500万バレルの需要減は、供給を減らして対応できる規模ではない。従ってOPECもOPECプラスも他の産油国も含め、皆で協調して対応しようとしていることが何より重要となる。だから、それを率先しているノルウェーは、えらいのだ。