総務相、LINEで住民票は問題 渋谷区に改善要請
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電子署名を使わない方法は、現行制度上はできません。関連するのは、住基法とデジタル手続法です。
渋谷区はデジタル化をリードする自治体の一つですので、総務省からきちんとした説明がなされると思います。住民票のオンライン請求についての同様の取組みは、市川市や四條畷市でも進んでいます。
こうした自治体の動きの背景にあるのは、2016年に総務省が打ち出した情報セキュリティポリシーが時代と合わなくなっていることがあります。これは、俗に「三層の構え」と言われ、地方公共団体のシステムをインターネットから遮断し、LGWANと言われる独自ネットワークに閉じ込めました。2015年の日本年金機構で発生した125万件の個人情報流出事件がきっかけです。
この三層/LGWANが、端的に言えば時代遅れになっており、いま進んでいるDXの流れにおいて見直しを進めています。当時に比べて、クラウドの機能、コスト、安全性は一層進化し、政府ではAWSを採用予定です。一方で、基本ネットから分離されている自治体では、システムの使い勝手が悪く「シャドウIT」と言われる非正規のITが広がっています。高市早苗総務大臣より、当社で提供している「LINEで住民票請求」のサービスについてコメントされたようです。
このコメントを受け、当社としての考え方をnoteにまとめていますが、その冒頭の抜粋を以下に記します。
当社で提供しているLINEで住民票申請の機能は、実質的にほとんどの住民の皆様が今すぐに利用できる電子的な行政窓口機能であることを重要視しています。もちろん、十分なセキュリテイを確保した上で。逆に、同様の手続きについて現存する電子申請はマイナンバーカードおよびそのICチップを読み取るためのICカードリーダーが前提となっており、マイナンバーカードの普及率やICカードリーダーが非日常的なデバイスであることを鑑みると、ほとんどの住民が今すぐ利用できない仕組みです。これはマイナンバーカードという施策が良いが悪いかではなく、現状の普及率からみた今時点での客観的な事実です。
そして現在、コロナウィルスの影響で外出自粛が各所で要請され、いわゆる3密をできる限り発生させないために、ときに例外的な措置含め積極的に考えるべき状況だと思います。そんな中、このLINEで住民票申請の仕組みはもともとコロナ対策として開発されたものではありませんが、結果として役所窓口において人と人との接触を減らすことができる有効な一つの選択肢になっています。現状においては、当社のサービスに限らず、こういった仕組みを超法規的措置含め「どうやったら進められるのか」を検討するのが妥当な姿勢だと考えますが、少なくとも報道からは大臣のコメントはそのような建設的方向ではなく「なぜNGかを丁寧に説明する」とおっしゃっています。この状況にあってわざわざこのコメントを出された背景や、最も重要なポイントとして、この判断は誰に益するものなのか?がわからないと感じています。今、選択肢を減らす判断が誰の利益や安全性を確保することにつながるのか。この判断は国民の利益よりも、その方法論にプライオリティをおいた判断だと感じています。
適法性、およびセキュリティについては以下noteで全文ご覧ください。
https://note.com/nkjmkzk/n/na25366226a4eLINEで住民票を取得するのが問題なように見えますが、なぜか住民票がなぜ必要なのかというところまで議論が及ばないような気がします。住民票に代わる仕組みを作ることこそ総務省が取り組まねばならない問題です。
電子政府を実現することができていないからこそ、LINEが自分たちの技術を使って現状のシステムをそのまま組み替えているだけなのです。本来は、総務省が指揮を取って働きかけていかねばなりません。