【週刊SB】4.5兆円の資産売却が意味するもの
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注目のコメント
私のところにも取材に来ていただきましたが、あんまり気の利かないコメントしかできずにスミマセンでした。
SBGのこれまでの経営スタイルは「孫正義ファンクラブ経営」
アクロバティックに見える経営はハイリスク・ハイリターンと表現されることがありますが、携帯通信や半導体IPなどデカイ買い物をするときにことごとく借金漬けにしてきたからです。でも、本当にそうなのか。
携帯通信事業は規制産業であり、大手3社でパイを仲良く分け合っているので、めちゃ儲かっています(子会社のSBの営業利益率は20%超え)。さらに、いくら日本が少子高齢化でパイが小さくなっているといえども、今日戦争が起きて明日いきなり人口が半減するとかでもない限り、事業は安定的にめちゃ儲かります。
世界中の半導体メーカーからモテモテのアームもライセンス収入、ロイヤリティ収入が事業の基本なので、安定的にめちゃ儲かります(今期は投資し過ぎて赤字ですが)。
基本的にSBGが買ってきた事業はキャッシュフローが安定するので、コストの安い借入金の方がお得だったわけです。
そのことを理解している銀行も喜んで貸したい。実際、すべての上場企業の支払利息のうち2割をSBGが払っているので、メインバンクのみずほ銀行は汐留に足を向けて寝られないでしょう。
そして、やいのやいのと喧しいエクイティ投資家はなるべく避けたいという思いも孫さんにはあったと思います。SBGの株主総会に行くとわかりますが、さながら「孫正義ファンクラブの集い」です。海外のメジャーな格付けが投資不適格級のSBGは社債もまっとうな機関投資家は買えないので、ファンクラブの個人が持っています。
ただ、ビジョンファンドがメインの投資会社に変身してからはファンクラブ経営も限界が見えてきました。これまでの高収益で安定した携帯通信事業と違って、ジェットコースターのように振れ幅の大きなスタートアップが投資先となれば、銀行やファンクラブからの借入に頼るわけには行かなくなります。
エクイティで調達すればいいじゃないかとの声もありますが、いま程度の時価総額では大した金額は集められません。WeWork等のしくじりもあって2号ファンドもどうやら難航。
いまは八方塞がりということで4.5兆円の資産売却には「いったん屈もう」という意図が孫さんにはあったと思います。2000年のITバブルの時に、3日間だけビル・ゲイツを超える億万長者になり、その後に100分の1まで資産を減らした(20兆円→2000億円)ことで知られるソフトバンク。危機は初めてではありませんが、20年前と比較して、はるかに大きな金融投資会社になった同社は、どうこの局面を切り抜けるのでしょうか。
NewsPicks編集部では『週刊ソフトバンク
』と題して、これから毎週にわたってソフトバンク関連のニュースを幅広く追跡。さまざまな担当記者たちが、解説などを書いてゆきます。
持論を展開したいというピッカーの皆さん、ぜひ異論反論ふくめて、コメントいただけたら幸いです。初回は、Tesun記者によるレポートです。複雑で動きも多いため、フォローが難しいソフトバンクグループ。
今週だけでも、資産売却、自社株買い、非公開化検討、格下げとニュースが相次いでいます。
そんな同社のニュースをNewsPIcksがしばらく週刊でアップデートしていく予定です。
第1回は、大型の資産売却やその背景についてレポートします。