赤字国債の追加発行検討へ コロナウイルスの経済対策で
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政府債務の対GDP比が先進国最悪どころか比較可能な180か国ほどの中で最悪である日本の円が世界で信頼されるのは、政府の赤字を民間の黒字が埋めて日本全体では外国との取引(経常収支)が黒字、そして3兆ドルもの対外債権を持っているからです。この構図がある限り、徴税権のある政府が民間の過去の貯蓄を過去の借金分だけ税金として取り上げて、外国に迷惑をかけることなく、いつでも国内で相殺することが出来るんです。そうすれば、その瞬間、政府の借金もなくなる、民間の貯蓄も年金も無くなる、という“安心の構図”です。
流石にそんな乱暴な増税をすれば大人しい日本国民も怒るでしょう。国民が怒って暴動を起こしてしっかり税金を取ることができなければ、いくら外国から借金していなくても、政府の財政が行き詰ったり悪性のインフレが起きて国が混乱したりすることはあり得ます。しかし、この構図がある限り、政府はもうちょっとくらい借金を増やして財政支出を増やすことができるだろう、という考えることは可能です。
新型コロナウィルスという突然の脅威で経済活動が止まったいま、その停滞が大量の雇用喪失や企業の連鎖倒産、更には金融危機を招いたら、ウィルスが去ったあとも経済活動の停滞が続き、元に復すのは容易でない状況が生まれます。上記の“安心の構図”を信じて赤字国債を発行することもやむを得ないところです。
しかし、このおかしな“安心の構図”は、民間が将来もせっせと貯蓄に励むだろう、という不安定な期待の上に成り立っているのです。その期待が崩れた瞬間、国債と円が世界の信認を失い、金利の上昇、円の暴落、そして輸入物価の上昇による悪いインフレが我が国を襲う可能性は否定できません。そしてその瞬間がいつ来るかは、新型コロナウィルスの発生と同じく、誰にも予測できません。赤字国債の発行はやむを得ないとしても、それは、こういうリスクの増大と引き換えだということを忘れてはいけません。危機は常に突然やって来る。これを契機に政府の赤字と借金が野放図に積みあがることのないよう、出口をしっかり考え、本当に効果のある政策に絞って、大胆かつ慎重に進める必要あるように思います。2020年度は税収が減少すると見込まれ、追加の経済対策がいくらになろうと、決算時の歳入欠陥を避けるために、税収を減額補正する補正予算を年央には組まざるを得ない状況だろう。
最終的に赤字国債をいくら発行する必要があるかは、税収の減少額と、新型感染症拡大に伴う政府行事・出張等の取り止めによる歳出の不用額とを勘案して決まることになろう。
2020年度に財政収支が悪化したところで、5年後まで尾を引く景況になるはずもなく、2025年度の財政健全化目標の達成には支障ない。