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同社のロボットは空気圧による駆動方式を採用し、ダヴィンチのようなモーター駆動式より導入コストを下げられる。ダヴィンチの最上位機種が導入に2億円以上かかるのに対し、1億円以下で導入できるという。
空気圧駆動の利点は低コストだけではない。同社は“触覚フィードバック”と呼ばれる機能をロボットに搭載する。ロボットアームが臓器に触れた感覚を医師の手元に再現する機能で、手術器具を扱う力加減を微調整するのに役立つ。
空気圧で精密な動作を実現するにはシリンダーやバルブ間で生じる摩擦を小さくする必要がある。「摩擦を小さくする部品が近年出てきたことに加え、部品ごとの組み合わせの試行実験を弊社では15年近くやってきた」と事業開発部の岸本力哉氏は説明する。他企業ではできない先行データの積み重ねがあるという。
【量産化を予定】
空気圧駆動には臓器をつかむ力が弱いというデメリットもあるが、「肺などの柔らかい組織を触る際は弱い力の方が具合がよい」と岸本氏は明かす。
20年秋ごろに量産化に向けた試作を予定する。平行して安全性試験や動物を使った非臨床試験などの手続きを進め、21年中に薬事承認を申請予定。審査を経て22年中に発売する見込みだ。発売年は5台程度の販売を目指す。
手術支援ロボットは患者の体への負担が小さい低侵襲手術を支援する。ロボットを使うことで手術器具を扱う際に手ブレが発生せず体の深部まで器具を届けられる。例えば体の深部を治療する前立腺手術はロボットの手を借りて行われることが多い。18年4月には12件の術式が保険適用を受け、ますます普及が進むだろうと同社の川嶋社長は予測する。
普及の課題は前述のコストに加え、医師のトレーニングだ。ロボットを使いこなせるベテランの医師の手術に立ち会い使い方を学ぶ若い医師が増えている。医師の世代交代に伴いロボット手術が当たり前になる日も近いかもしれない。