【上野千鶴子・石川善樹】これからの「はたらき方・生き方」を考える

2020/3/20
NewsPicks Brand Design編集部が手掛ける雑誌「NewsPicks Brand Magazine」
Vol.1「お金の話」に続き、Vol.2では「これからのはたらき方・生き方」をテーマに、自分らしいワークスタイルとライフスタイルを見つけるためのヒントを詰め込みました。
キーワードは、「時間」と「(人や場所との)関係性」
人生100年時代の「はたらき方」や、1週間の「時間の使い方」のティップス、多様化する時代の「個」と「社会」の関係性などについて、多種多様な方々に話を聞きました。
本記事では、大特集となる上野千鶴子氏と石川善樹氏のインタビュー内容の一部を、先出しでお届けします。
【上野千鶴子】ルーティンの日常を見直す
上野 私たちの一番の基礎になる人間関係って、家族や夫婦関係ですよね。
その関係を維持するにも、ダブルインカムが当たり前になった今、夫婦関係において女性が担う役割は家庭外にまで広がり、夫婦関係はいやが応にも変化しています。
けれど、それに見合うほど男性は変わってない。だから、「ワンオペ育児」なんて言われる状況ができてしまう。
ちなみに、最近の若い男性は配偶者を選ぶ際、「女性の稼得(かとく)能力」を重視する傾向にあります。とはいえ、基本的な姿勢はあくまでも「妻にもはたらいてもらいたいけれど、自分は家事を負担したくない、僕の収入に及ばない程度に控えめにはたらいてほしい」という考えの人が多い。女性もその発想に適応してしまう。
上野千鶴子
CHIZUKO UENO
1948年、富山県生まれ。社会学者。東京大学名誉教授。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。女性学、ジェンダー研究のパイオニアであり、高齢者の介護問題にも関わる。著書に『おひとりさまの老後』(文春文庫)、『女ぎらい ニッポンのミソジニー』(朝日文庫)など。
夫婦関係が新たなステージを迎える際などに、再調整や交渉に大きなエネルギーが必要になることは明らかです。
けれど、そもそもすべての人間関係には種をまいて水をやるように、日々のメンテナンスや努力が必要です。
今現在、夫婦間でちゃんとコミュニケーションをとっている人はどれだけいるでしょうか?
結婚して、妊娠して、子どもが生まれ、彼らを育てていく。こういったルーティンで維持された日常を変えるのは、大変です。だから、「コミュニケーションや交渉なんて面倒くさくて、やっていられない」という夫婦もいるでしょう。
でも、人生って面倒くさいもの。それをしなくてどうするの。そうしないのは、夫婦や結婚、ひいては、人生をなめているってことになる。
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(続きは本誌で)
【石川善樹】人生を「春夏秋冬」で例えると…
石川 「人生100年時代」と呼ばれるようになった今、人生に占める仕事の割合も当然変わってきます。
例えば、戦後すぐは「人生50年時代」。教育制度が整っておらず、一生はたらいて人生を終わらせていました。
その後「人生80年時代」になると、ある程度人生の見通しが立つようになり、学校で学び、会社ではたらき、60歳で退職して老後を過ごす、という3ステージで人生が成立しました。
しかし、「人生100年時代」では、75歳まではたらくことが想定され、国からのサポートもあまり期待できないのが現状です。
従来のはたらき方が通用しなくなり、将来の見通しが立たないことで、不安に思う人も少なくないでしょう。そこで私は、この新たな時代における人生を「春夏秋冬」それぞれ25年の4ステージに分けて考えることにしました。
石川善樹
YOSHIKI ISHIKAWA
1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。公益財団法人Well-being for Planet Earth代表理事。「人がよりよく生きるとは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学など。
ポイントは、「秋」に相当する50代からの「生き方」です。ここで、はたらく時間の占める割合を減らし、その分、遊びや学びの時間をつくります。そして「冬」、つまりは75歳になったら休む。
この「秋」の期間に必要なのは、今までやってきた仕事を見直し、職業観を大きくシフトさせることです。なぜそのタイミングが50歳なのかというと、ちょうどこの年代が、体力的にも経済的にも社会的にも、すべてを総合して人生で最もいい状態にあるからです。
最初は苦しいかもしれませんが、新しいことにチャレンジし、適応できたら、その後のステージを生き抜く大きな自信になります。そして、このステージで稼いだお金を老後に回すことができる。
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(続きは本誌で)
表紙イラストは漫画家・安野モヨコ氏が描き下ろし
表紙を飾るのは、「ハッピーマニア」「さくらん」「働きマン」などで知られる、漫画家の安野モヨコ氏。インタビューでは、クリエイターとしてのスタンスと「これからのはたらき方」について語る。
また、若くしてLINE執行役員を務め、プロピッカーでもある奥井麻矢さんは、「時間の取捨選択」に言及。仕事の「頑張り時」の見極め方について、独自の考え方を披露した。
また、忙しいカップルを代表して、「プレゼンの神」澤円さんとアーティスト奈緒さん夫妻が「忙しいカップルならではのコミュニケーション法」を伝授。
その他、日本最大級の読書会「猫町倶楽部」や、新しい家族のかたちを提示する「拡張家族Cift」など、これからの時代に必要な新しいコミュニティの可能性を探る。
新しい環境が始まる春。新たなスタートを切る人の背中を押す一冊。