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よみがえる宇沢弘文:「環境」を分析できる理論に挑み続けた経済学者の遺言

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    東京大学経済学部教授 東京大学マーケットデザインセンター(UTMD)所長

    我々の業界では神様みたいな人なのでちょっと書くのに勇気がいるんだけど、でもやっぱりごく普通の経済学でも公共財の理論とかは同時代からあって、それより宇沢アプローチの何が良いのかは相当不明確な気がします。環境は経済学が非常に興味とするところであるし。宇沢先生の批判の多くはそれらのアプローチを曲解もしくは無視していると感じることは否めない。とはいえ、残念ながら自分も含めてほとんどの経済学者は「後期宇沢」の研究を(一般向けの書物や噂話を除けば)よく知る機会がそもそもないので、宝が眠っていないとも限りませんけれども。

    ところで宇沢先生、帰国したとき40歳なのよね。僕も40歳で帰国するので、何ていうかいろいろと思うところがある(僕ていどが勝手に比べるのはおこがましいけれども)。

    コロナウィルス とかの話はいろんな側面があると思うんですけど、疫病の拡大を防ぐというのは環境の制度設計、公共財の供給問題として重要ですよね。経済学を含むアカデミアが何を言えるだろうかしら。(UBC経済学部の野田俊也さんが以前考えててすごい興味深かった。残念ながら今回は基礎研究を実装できるところまで行くのは遅すぎるかもしれないが、疫病の問題は何度も何度も繰り返される問題だから挫けずに研究していこう)


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    大阪大学 感染症総合教育研究拠点特任教授、大学院経済学研究科(兼任)

    宇沢先生の学問的業績が飛び抜けていることは事実です。社会への影響力も大きかったです。ただ、小島さんが書かれているように、日本の経済学の発展にとってはどうだったのかは若干疑問が残ります。『ポール・ローマーと経済成長の謎』で描かれているように、1980年代になってから外部性を成長モデルに取り入れることはポール・ローマーをはじめ多くの研究者が取り組みました。制度の重要性もその頃から認識されるようになりました。共同体の重要性の認識や信頼といった概念の重要性も行動経済学の発展で現代の経済学に取り入れられています。宇沢先生の議論は時代に先駆けていたのは事実だと思います。でも、宇沢先生がこうした問題に経済学の中でも取り組んでいらっしゃれば、外部性を考慮した成長モデルや行動経済学の発展にもっと貢献できたのではないか、とつい思ってしまいます。そんなことよりも社会に直接働きかけることを選ばれたのだと思いますが。


  • 週刊エコノミストオンライン 編集長

    環境(E)社会(S)企業統治(G)を重視するESG投資が、世界的に注目され、マネーの動きを変えようとしています。豪州やブラジルで発生した大規模な森林火災や日本でも相次ぐ大型台風の上陸といった異常気象を前に、持続可能な社会構築に向けて、人々の関心が高まっていることが背景です。実は、そうした問題意識を半世紀以上前に、提唱した経済学者がいました。宇沢弘文さんです。

    宇沢さんは、1969年に「社会資本の経済学を考える」を『日本経済新聞』に発表し、「社会的共通資本」という概念を打ち出しました。戦後の高度経済成長の負の側面として、当時、公害が日本にとって大きな社会問題となっていました。その解決に向けて、当時世界最先端の数理経済学を持ち込んだのです。1974年には『自動車の社会的費用』(岩波新書)を書き上げ、自動車による利便性向上の裏側で、発生する排ガスや交通事故などの負の側面をフォーカスしました。環境問題に積極的にかかわる行動する経済学者だったのです。

    一方で、環境問題や社会問題に取り組むイメージから、啓蒙家や社会運動家と受け止めている人がいますが、宇沢さんには、世界を代表する数理経済学者の横顔があります。
    東大数学科を卒業し、大学院でも数学を専攻しながら、河上肇の『貧乏物語』を読んで、20代半ばで、経済学に転向。米国経済学の権威とも言えるケネス・アローに送った手紙が縁で、アローのもとで、研究生活に入りました。1956年のことです。そこからのめざましい活躍で、35歳の若さで米シカゴ大学の教授に。論敵フリードマンと資本主義について、議論を闘わせました。

    ところが、1968年に突如帰国。東大助教授という「降格」という、これも異例の行動をとります。

    ESGや国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)を先取りした宇沢経済学は、色あせるものではありません。資本主義が曲がり角にある今こそ、謎多き異端の経済学者の全貌を描き直す時だと、特集を組みました。


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