国を挙げ博士育成を 16年ノーベル賞の大隅氏に聞く
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◆本当に議論すべきことは何か
日経新聞を批判するわけではないけど、この記事のタイトル「国を挙げ博士育成を 16年ノーベル賞の大隅氏に聞く企業の採用機運高まる 大学も意識改革必要」とその論旨は本当に大隅先生の意図した発言に合致しているかどうかが結構怪しい感じがする。
この記事の中で紹介された大隅先生の発言は以下七点
「日本にどれぐらい博士が要るのかという議論が必要だ」
「空洞化を防がないと日本は本当にだめになる」
「企業が『博士を採用する』というメッセージ(を出すこと)はとても大事だ」
「実力のある博士がいないともたないという意識は企業にもある」
「大学の意識も変えないといけない」
「修士課程の教育が形骸化している」
「(学生が)『ああいうふうになりたい』と思えないことが博士課程に行かない最大の理由かもしれない」
この発言を組み合わせると「国をあげて博士育成を」となるのかが疑問。国をあげて博士の育成を進めた結果、企業側のニーズと合わない、博士の質が合致しない博士号取得者が世にあふれ、企業側も「使えない」となってますますとりにくくなっているという実情をよく考えるべき。そういう意味では大隅先生の言っている博士とはどういう人材かを示した上で、「その質を担保する博士の育成が課題」とするのであれば納得するところ。タイトルだけでは「それはまた同じ失敗するでしょう」と思ってしまう。
今はまだ景気がいいので博士号を取得するくらいなら修士で企業に就職した方がいいという人が多い。その中に本当に優秀で将来技術を支えるであろう人材がいるなら博士号取得で鍛えてから社会で活躍してもらうという筋道はわかる。そのためにどんな人材が、どれだけ必要で、それにあった教育機関になっているかを産官学で議論するのは確かに必要だと思う。(先生の発言だけをさらりとみると修士課程も含めて大学のレベルダウンを心配しているのが一番大きなポイントにも見えるが)