トランプ氏どうした、驚くほど退屈だったダボス演説 その意味を考えた
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「これまでで最も退屈なトランプ演説のひとつ」。ワシントンでトランプ大統領をずっと見てきた経済特派員がそう評した、トランプ氏のダボス演説。これまで語ってきた「反グローバリズム」が、結局は政治的打算による「ポーズ」に過ぎなかったことの表れではないか、とも。
確かに、反グローバルを訴えたトランプが実際にとった経済政策で一番潤っているのはエリートだという矛盾、反グローバルと言いながら、やっていることは雇用の流出につながるグローバリズムの政策だという矛盾を、トランプ政権は内包しているように感じます。そうした矛盾を意に介さず、「アメリカを偉大に」「アメリカ・ファースト」というスローガンにすべてを収斂させて人心をつかんでしまうのがトランプ氏の本領でもあります。大変面白い記事。トランプ政権において、一部のエリートが利益を得るという話は、矛盾ではなくオバマ政権でも同じで、エリートが利益を得ないような構造はなく、当然の事実です。またアメリカ第一主義かグローバリズムか分類も、トランプ大統領には今一つ当てはまりません。その理由は、トランプ大統領は必ずし反グローバリズムではないからです。外交を力づくでねじ伏せるネオコン派とは違い、交渉で解決する考えをもっており、国際貿易については、アメリカの国益が守られていれば、中国でもロシアでも協定を結びます。
反グローバリズムの話のなかで、ポピュリズムもよく出るのですが、トランプ政権が、白人による人種差別主義またはナショナリズムと考えるのは、全体的には正確ではありません。その理由はトランプ大統領だけでなく、アメリカ全体がポピュリズムに移行しているからです。例えば民主党大統領候補では、サンダースやアンドリューヤンの人気がでてきていますが、彼らは反エスタブリッシュメントです。トランプ大統領もヤン氏も政治家ではありませんし、サンダーズは民主党議員ではなくインディペンデントです。民主党はサンダースを落とすために躍起になっています。
すなわち、アメリカ国内政治における反エスタブリッシュメント(差別的なポピュリズムではない)が外交に反映されていれば、民主党政権になっても変わらないと思います。事実、新NAFTAには民主党も承認しており、旧NAFTAに賛成したバイデン元副大統領も今になって、今後は国民の不利益になるような協定は結ばないとしています。多くのアメリカ人の仕事を奪ったクリントン政権のNAFTAは間違いだったことを事実上認めています。
従って、トランプ大統領の反グローバリズムは、本当にポピュリスト的な発想だと思います。保守トランプ、リベラルのサンダースやヤンへの支持、そして反グローバリズムは、右か左かではなく、NAFTAなどに象徴されるエスタブリッシュメント構造に反する国民の全体的なポピュリスト的な流れで、トランプ大統領の問題ではないと思います。