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その理由は2つあると思っていて、
①国内でのVC経験者の層が薄い(最近こそ増えてきているものの)
②事業会社側がCVCのキャピタリストのインセンティブを正しく設計できていない/重要性を理解していない
そのため、パートナークラスの経験者を採用することができなかったり、他部署から異動してきた未経験者のみで構成されてしまうケースがあります。
一方で、人材確保さえきちんとできれば、独立系VCにはできない強みや支援をできるとも思っています。
独立系VCで良くおこなわれる3R(HR、PR、IR)の支援のみならず、協業によってスタートアップの成長をドライブさせることが可能です。
CVCの盛り上がりを一過性で終わらせないためには、シナジーのみならず金銭面でもきちんとリターンを出していく必要があり、そのためには人材の重要性を認識し、プロフェッショナルが活躍できる組織づくりが欠かせないと思っています。
その一方で、企業統治のあり方や株主の利益という観点から考えると、必ずしも手放しでは喜べません。自分たちで有望な事業領域を特定できず、既存事業が成熟したと考えるのであれば、粛々と株主へのリターン創出に徹するのもまた、経営者としてのひとつの見識なのではないかとも思います。
受け入れ難いことかもしれませんが、新しい芽が育つことを促すのであれば、並行して代謝の促進もまた必要でしょう。
あくまで思考実験ですが、この点、もっと人材に流動性があり、無理に既存のビークルを生きながらえさせる必要のない世界であれば、こういった状況にはならないのではないかとも思います。
日本の社会に欠けているのは、お金の流動性よりも、人材の流動性と、経営者に対する正当な評価軸、インセンティブ付けなんじゃないかという気がしないでもありません。
この問題点の根幹の一つはVCに対する知識不足です。単純に日本の大企業の多くがシリコンバレーのVCについての情報にアクセスできていないという現状もあります。
そこで私のではないですが、Berkeley Executive Education(BEE)のスター教授による東京で二日間のVC勉強会があります。3月20、21日(祝)です。
https://executive.berkeley.edu/programs/vcep-japanese
社内でCVCに携わっている方はもちろん「VCを理解してもらわないと困る」社内の人たちにも意味があるかと(例えば人事部も、CVCの人材を外部から集める場合の給与体系の違いを理解してもらわなくてはいけない、など。)少なくともオープンイノベーションを試みる場合、社内の色々な他の部署に応援団になってもらわなくてはいけないので、本質的なVCを理解してもらう必要があります。
教授のトビー博士は自分でシリコンバレーのVCファンドの運営側にも回っており、世界中の様々な大企業を相手に授業はもちろん、コンサルティングも行っているスター教授です。でも日本では知られていません。なぜなら毎年シンガポールやドバイ、アメリカの大企業や南米の大企業を相手にしてますが、日本はこれまで素通りしてきました。日本企業がこういった機会を活用できることを知らなかったからです。(そもそもBEEはシンガポールでは有名なのに、今まで日本には縁がなかったので、展開してこなかった)
これは日本にとって機会損失と危惧しています。世界の至る所でこういう授業を受けてからCVCを設立したり、VC周りの活動をし、世界のビジネスの共通言語を獲得しています。
日本企業には勤勉で真面目な人も多く、能力は世界トップレベルで、企業としても研修に力を入れ、新しい取り組みとしてCVCなどを設立しているのに、世界トップレベルの知識と社会人教育を行っているグローバルな大学との接点が少なすぎるのはもったいないです。
バークレーは公立大学ビジネススクールではトップランクで、今回は英語の授業ですが、ある程度の言語サポートもあります。
ご興味がある方はサイトにある連絡先にお問い合わせください。
CVCはプラットフォーム型企業のエコシステム強化には効果的です。CVCをはじめる前に、まずは自社のプラットフォームを整備し、スタートアップの受け皿を用意することをお勧めします。
資金力がある上、フィンテックやRPAによるコストカットのアイディア、新たな決済や審査手法など新たなビジネスモデルの事業化できる余地が多い気がします。
他のベンチャーキャピタルよりも目利きが良い理由がなかなかわからない(よっぽどの人をヘッドハントしたり、長い期間かけて経験のある人がいる場合も知っていますが例外的)。CVCにしたからって飛んでもないコンペティティブな条件提示できているところは極めて限定的。
本業とのシナジーをうたうが、シナジーってM&Aとかでも一番わからない部分。あればラッキーですが、そこを見込んだ買収って結果うまくいかない。事実、スペイン系の某テレコム会社のCVCがブラジルにもありますが、そのテレコム会社と何らかの協業ができたケースは3桁投資中1件という。本当にシナジー出すのは本体投資でも至難な業なんですよね。
GPになる理由がさほどない。LPで複数ファンドの投資先と広くアクセスできるようになっておけばリサーチ目的は達成できる。LPだからと言ってGPと同様の情報アクセスはないけど、本当にシナジーがあるのであればスタートアップは喜んで話をしてくれると思います。
ということで個人的にはLP的な動きが効率も効果も良いと思いますし、一方でSAPのSapphire Venturesのようにファイナンシャルリターンを求める普通のVC化していく(ここは人的資源の違いによる)のが良いのではと思っています。
具体的な課題についてはあ日本ベンチャーキャピタル協会さんの調査が非常に参考になります。
「我が国のコーポレートベンチャリング・ディベロップメントに関する調査研究(~CVC・スタートアップM&A活動実態調査ならびに国際比較~)」
https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/main_01/press001/press001.html
CVCを手掛ける企業はそもそも広範に関係する事業を持っているのが望ましいかな、とは思う。Financial Returnを狙わない場合にはシナジーを狙った買収ないしはExitになるわけだから展開できる事業は多い方が良い。
それにしても大企業にはカネが余っているってことなんだろなあ。。。。