【直言】“補助金”を見直さなければ、林業再生はあり得ない
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既存補助金だけではなく、2024年から開始予定の森林環境税も見直しが必要です。
620億円前後という相当大型の新税になる森林環境税は、個人の市町村税に1000円を上乗せされます。
税収は国が集めて特定財源にし、必要とされる市町村に配布されることとなり、使用目的は、間伐などの森林整備、人材の育成、道路の整備、機械の購入などです。
既に地方自治体の税金も同じような目的のものがあり、国の地方交付金と被っています。
日本の林業が衰退しているのは、財源の問題ではなく、「仕組み」や「政策」の問題が大きいため、税金をいくら徴収しても課題は解決されないと思います。関西地方で材木屋を営む者です。
今回のインタビューを読んで不意に想起した話です。
1666年4代将軍徳川家綱の時代、稲葉正則を中心とする老中の連署によって『諸国山川掟』が発令されました。
安土桃山次代から続く旺盛な建築ラッシュや、戦乱の終結による生活の安定がもたらしたエネルギー需要から、特に大都市近郊の林産地を中心に、文字通り根こそぎ伐られた「禿げ山」が頻出した事。更に禿げ山となり治水能力が低下し、大都市近郊の河川の氾濫が相次いだ事。様々な弊害を受けて各地域の対策の指針として行政府から発令された史上初の法令です。(全国一斉だったのか地域限定だったのかについては賛否があるそうですが)
そのあたりの幕府の対応を中心に、秋田杉で知られる佐竹藩や飫肥杉で知られる伊東藩といった現代まで知られる林産地の事情を含んで、木曽地方を領有した尾張徳川家の研究機関が編纂した書籍が下記のリンクです。
森林の江戸学
http://www.tokyodoshuppan.com/smp/book/b97267.html
江戸期の林政や林業の実態に関わる情報が体系的に網羅されている良著です。
良く歴史は繰り返すと云われますが、正確には「歴史は螺旋状に進む」です。螺旋状にどの方向に進むのかは分かりにくいですが、森林ストック量やマーケットの範囲など現代とは対極にあった過去の行政府の取り組みを知ることで、未来へのベクトルを推測し、自らの立ち位置を意識する一助になるのではないかと思い紹介させて頂きます。現役時代から異彩を放っていた、辣腕官僚の登場です。補助金行政の弊害については、現役はもちろんのこと、OBでもなかなか認めたがらないところ。だからこそ、是々非々の政策転換提言は一聴に値します。「過ちては改むるに憚ること勿れ」。林業再生に向けて打つべき手を打つ時に来ています。