国内投信、指数型が初の過半に 低コスト志向で
コメント
注目のコメント
これはかなりミスリーディングな記事だと思います。日銀の保有分を除くと、アクティブ投信は指数型(パッシブ投信)の1.5倍以上あります。
このことがわかる箇所を記事から抜粋します。
(1)「19年末のパッシブ投信の純資産(確定拠出年金やラップ口座専用は除く)は50兆9500億円と前年末に比べて29%増加。」
(2)「6%増の43兆9500億円だったアクティブ投信を初めて上回った。」
(3)「パッシブの純資産は過去5年で3倍強になった。この間に約24兆円のETF(上場投資信託)を購入した日銀の影響を除いても7割増だ。」
(1)にパッシブ投資の残高が約50兆円とありますが、(3)を読むと、そのうち日銀による購入分が約24兆円とあることがわかります。それを除いた実質的な残高は約26兆円です。これに対して、アクティブ投信の残高を見ると、(2)に約43兆円とあります。
従って、アクティブ投信(残高43兆円)は、パッシブ投信(残高26兆円)の1.5倍以上あることが、記事を丁寧に読んで計算するとわかります。
この記事のタイトルにあるように、仮にパッシブがアクティブに逆転したとしても、日銀が金融緩和でパッシブ投信を24兆円も購入した分を含めて比較したらの話です。
しかし記事全体をさっと読んでも、そのことには気づかないのではないでしょうか?
読者を大きくミスリーディングする恐れがあるように思いました。個人的にはひふみ投信などで恩恵を受けてきた事もあるので、アクティブであっても良心的な信託報酬で、パフォーマンスの高い商品に頑張ってもらいたいです。
証券等のブローカレッジはオンライン証券の登場から約20年で利潤消失(手数料ゼロ化)が始まりましたが、アセットマネジメントはより速いスピードで今後数年以内に同様に利潤消失が大きく進むことを予想(懸念)しています。
従来型のアセットマネジメント付加価値は金融原資産と情報(銘柄選択・アロケーション比率決定等)の組み合わせであり、特に公開資産を投資対象とする商品・サービスの場合、それぞれの取得コストがほぼゼロである現状、その高い利潤を正当化することは運命的に困難です。
また、国内では既に投資信託が6,000本以上も存在する中、6,001本目や6,002本目の限界効用や1本あたり提供付加価値は限りなくゼロに近く、同様の投資運用戦略の投信を並べると、自ずと手数料率は低下圧力を受けざるを得ません。
加えて、個人的に最も懸念しているのが、国内運用会社間で運用報酬の引き下げ競争のようなものが目立ちますが、他に収益源を確保したり、引き下げの戦略的果実を定めたりしないままに、担当者や部門の評価もしくは自己満足の最適化を目的とした戦略なき引き下げが横行しているように思われることです。
例えば米国運用会社では、投信内での証券貸し株報酬の一部を運用会社が収益として得たり、自社プラットフォームやシステムのような戦略的果実を得る手段や収益源を持っていたり、自社開発指数を用いてコストを引き下げたりする手段を持っていたりする等、現象として「運用報酬の低下」は同じであっても、経営環境や戦略は全く異なっています。
リテール金融においてブローカレッジやアセットマネジメントからアドバイスへの大きな流れは不可避と考えますが、事業モデル転換を検討することなく、無思考・無戦略の運用報酬引き下げ競争が過熱化し、本来より早いタイミングでアセットマネジメントからも利潤が消失し、業界が自らの首を絞める未来が近く到来するような危機感を持っています。