【キアラシ記者】イラン系の僕が、今の「ヤバさ」を解説します
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今週は「緊急特集:イラン危機」です。
初回の今日は動画解説です。
1ヶ月で200人が死亡、しかもその大半が民間人だったイラン危機とは、一体なんだったのかについて、背景からなるべく分かりやすく喋らせていただきました。
特に、ソレイマニ司令官の部分は注目して見ていただきたいです。
このニュース、日本に伝わる情報はほとんどがアメリカ経由のため、ソレイマニ司令官は「アメリカ人をたくさん殺したから英雄」という認識が一般的かと思います。
ですが、彼はそれだけの存在ではありません。なぜイラン国内の反政府派にも浸透しているのか、ぜひご覧ください。
そして中東の今後についても僭越ながら見通しを喋らせていただきました。
直近の動きを見ると、民間機撃墜を認めたことで反米だけでなく反政府機運も高まっています。
今後、しばらくはイランのニュースに注目していただければと思います。イランの現体制の最重要の目標は、現体制の維持です。国民の支持、経済、政府機構(特に軍)の3つを充実させるのが、基本的には必要なことです。それなのに、米国や他の中東諸国と対立して、自ら経済の危機を招き、国民の支持も危うくしているように見えます。なぜ自ら体制が危うくなるようなことをするのか、それが外から見てイランという国のわかりにくいゆえんです。
日本のような国から見ると、諸外国(特に米国)との関係を良好にすることで経済を発展させ、経済を元手に国民の支持と政府機構の充実を達成するのが賢明に思えるでしょう。実際、イラン国内にもそういう主張は強く、特に反体制デモをしている人々はそういう主張でしょう。
イランの現体制がしているのは、米国との関係を悪化させ、経済を悪化させ、国民の支持もかなり失い、限られたリソースを政府機構、特に宗教界と革命防衛隊に集中するということです。これは別に特殊ではなく、北朝鮮やベネズエラ、ロシアなどの体制がとっている選択です。そして、1931年から45年までの日本も概ねそういう選択をとりました。
経済と国民の支持を失った状況で体制を維持する最適解は、体制維持の利益を共有している勢力を強化することです。それがシーア派宗教界と革命防衛隊であるということです。
1.イランと米国
今の日本から見ると、イランが米国と対立して、経済制裁を受けて、わざわざ損しているのは、奇妙なことです。しかし、これはまさに戦前の日本がやったことです。
イランは対外的に拡大を続け、それは経済的にはむしろ損失ですが、対外拡大を続けた革命防衛隊は日本陸軍同様、放棄することはありません。体制としても彼らを英雄化せざるをえず、その象徴がカーシム・スライマーニー司令官という人でした。
2.イランと中東諸国の対立
イランはイスラエル、サウディアラビアなどの中東諸国と対立しています。かつてはイラクと8年間の戦争をしました。今、イラクの政権はほとんどイランの影響下にあり、シリアやレバノンに対しても宗主国というような影響力を持っています。日本にとっての満州国のようなものです。
イランの影響拡大が中東諸国の反発を招いたのは確かです。ただ、イラン革命はシーア派の革命ではあったものの、スンナ派全てと対立するわけではありません、スンナ派でもトルコやカタールはイランと同盟に近い関係です。親米国家だったイランが反米になった歴史的経緯、登場人物の整理、軍隊の名称。国民の年代的に別れる政府や米国への感情。継続するISとの関係。今後に対米関係ついてなど。
今回のイラン危機の状況が整理されていて分かりやすいです。根深い対立が露見された今、今後の動向と着地点に注目です。