ブロードバンド勃興 USENと孫正義氏の攻防
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注目のコメント
バブル経済崩壊からネットバブルに至る過程で様々な企業が起こった。
その中でもここに登場する企業はその時代を代表し、また現在も存在感を持つ企業です。
これらの企業を追い越していく企業が生まれないといけないなと思いました。
その意味ではこのレベルでのビッグピクチャーをしっかり描かないとなと。
自分にはその才能がないのは分かっているので、そういう起業家たちを支えていくことで貢献できればいつも考えています。相変わらずこの連載はすごい。初めて知った裏のストーリーがいっぱい。
電柱だろうと信号機だろうと街路樹だろうととにかく無許可でケーブルを敷設してしまうUSENの驚異の技術部隊は、瀬戸大橋が開通するときにはすでにケーブルを通していたという伝説もあるくらい。この工事力を活かした光ファイバー事業は、NTTが手塩にかけて作ったISDNの普及に力を入れている段階でダイヤルアップより安定しているとはいえ64kbpsのスピードの中で、最大100mbpsという桁違いのスピードで6000円という価格で衝撃を与えました。ただし、そんな世の中なのでその高速回線を必要とするコンテンツがなく、1.5mとか2mのADSLで十分に速く、二千円台という価格とモデム配布をするパラソル部隊の攻勢に時代が動いていきましたUSENのコンセプトは、いずれも時代の先を行き過ぎていました。
USENは2000年代に保有経営資源対比で多角化し過ぎてしまったのと、事業は時代を先取りし過ぎて市場が追いつかなかった(マネタイズできなかった)のと、電柱正常化と多角化を雑なDebtファイナンスで実行していたので、事業と資本市場が逆回転し始めた世界金融危機前後に、過剰債務で苦しんでいました。その後、事業の多くが売却されて行きました。
経営チームの構成にも特徴がありました。当時のCOOとCFOはいずれもマッキンゼー出身で、資金・資本に明るい方ではありませんでした。創業家CEOがビジョナリーな方だけに、COOかCFOのいずれかが、経営資源、特に資金・資本をプロとしてウォッチし続けていれば、財務危機を回避して別の形の成長があったかもしれないと今振り返ると思います。
金融危機の最中に、現CFOの馬淵氏がCFOに着任しました(馬淵氏は、興銀→GSレバレッジドファイナンスの資本市場バリバリのお方)