南極上空のオゾンホール面積 1990年以降で最小 気象庁
NHKニュース
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今回のオゾンホールの縮小は、記事中にもあるように8月末から9月にかけて発生した成層圏突然昇温という現象によるもので、昇温によりオゾン層を破壊する極成層圏雲という雲ができにくくなったためオゾン層の破壊が弱められたために起こりました。
そもそもオゾンは、光が強い熱帯地方の上空で多く作られています。これが高緯度地方に輸送されることで高緯度地方にもオゾンが供給される仕組みになっています。ところが、冬半球となっている側の高緯度地方では光が当たらないため成層圏下部での気温が極めて低くなっており、このために極渦という強いジェット気流が取り巻くように流れます。特に南極ではちょうどジェット気流の真下がすべて海となるため、極渦が安定して成立することが多く、ますます南極上空の温度が下がるために極成層圏雲という雲が成層圏内に発生することがあります。この雲はフロンガスの成れの果てである塩素を大量に含んでおり、これが春先に溶けるときに多くのフロンを破壊してしまい、オゾンホールを毎年のように形成しています(北極では気流の真下に山脈がくることで流れが乱されることが多く、極成層圏雲ができるほど低温になりにくいことからオゾンホールもありません)。
しかしながらフロンガス類の濃度は、たとえばCFC-11ではピークは1990年代前半で減少傾向であるものの、規制をかけて30年近くなるのにいまだに1980年代後半レベルでしかありません。オゾンホールができなくなるのは2050年ごろまで待たなければならないという報告もされており、引き続きフロンガス類には強い規制が必要であることがわかります。