【3分解説】ホンダ系が再編。「自動車サプライヤー」新時代へ
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ホンダ系列が組んだのは、同業ではなく、エレクトロニクス分野の日立グループでした。
トヨタ自動車も、2020年春めどにパナソニックと電池事業を統合した新会社を設立予定です。こちらは、トヨタ自動車の出資比率が51%と、トヨタ主導。CASE革命で自動車とエレクトロニクスの垣根が崩れつつあります。
ホンダの系列企業は、とても難しい立場にあったかと思います。もう少し規模が小さければ、特定の分野や得意技術に特化し、ニッチ分野で生き延びられるかもしれません。ホンダ系列としてグローバル展開できるだけの規模を持つ一方、トヨタ系列やボッシュのようなメガサプライヤーには決定的な規模の差がある。
日本には、自動車だけでなく、産業機械や化学など、あらゆる分野で中堅企業に厚みがあるのが特徴です。ただ、デジタル技術による産業の変革が進む中、「中堅」という規模で生き残りが難しいのも事実。
異業種との連携を選んだホンダと系列サプライヤーの決断。日本の産業界に広く参考になるのではないかと思いました。系列が生まれた理由、自分の理解はちょっと違う。
系列の中でも、自動車メーカーからスピンオフした企業と、下請けが系列化していった企業の大きく2種類に分けられる。元々自動車は米国で大きく成長した産業だが、高炉まであったFordのリバールージュ工場など素材から部品まで内製志向だった。一方で日本では戦後発達して、労組問題にも早くに直面した。ある企業のなかで人件費を分けていくという実際的な理由がスピンオフの一つの背景だったと記憶している。あとはデンソーやアイシンAWは、日本の自動車産業が発達していく中で、外資部品メーカーの技術導入の文脈で分社化した部分もあったと思う。
下請けが系列化していったケースは、日本の各メーカーが成長する中で、下請けのなかでの取引に占める比率が増えていった。そして同じような領域の下請けが事業継承だったり経営危機になるなかで、完成車メーカーが依頼する形で合併したり、また日本車メーカーが海外進出するなかで命運を共にする形で成長していったような企業もある。
CASEが進むことが自動車メーカーや部品メーカーの再編圧力を高めているという話は、良く報道される。ただ個人的には、「本当なの?」とまだ思っている。
自動車は巨大産業だが、一方でトッププレイヤーへの集約が少ない分散した産業。トップ3社は1000万台ほどだが、世界需要は1億台ほど。また100万台といったレベルの企業でも、競争する場所を選べば利益がしっかり出る。初期参入のための規模・資金が必須ではあるが、参入以後の競争力として規模が絶対的な産業ではない。
そしてCASEのなかでもA(自動運転)とE(電動化)が一番部品メーカーへの影響は大きいだろう。ただ、電池・モーター・半導体・ソフト全てを組み合わせて制御をしていくなかで、相互調整が完成車メーカー・モデルごとに一定必要になる。そのような状況だと、会社が分かれていようが、くっついていようが、開発費はモデル単位でかかってくる。もちろん基盤部分の研究開発などを共通化して効率的にできる部分もあるだろうが、一方で会社の規模が大きくなるほど管理コストもかかる。
この基盤部分の話は内燃でもある程度共通する話。そしてケーヒンとデンソーだと売上で10倍以上の差があるが、両社の営業利益率は一桁後半%であまり変わらない。自動運転によって、自動車のコア部分が変わり、それによって従来の系列構造が変わろうとしています。エンジンやブレーキといったハードからソフトウェアをグループ、系列に取り込む方向性ですが、自動運転の眼となるセンサー系がどう組み込まれるのか、注目です。