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(1)ランキングに載っていない優良スタートアップもある
私がCEOを務めるウェルスナビは、今回は7位にランキングされました。しかし、「順位が実力より高く出たな」というのが私自身の肌感覚です。
株価が日々変動する上場企業とは異なり、スタートアップは資金調達を行う時にだけ、企業価値が変動します。このため、例えば創業当初から黒字で、資金調達を行う必要がなければ、そももそも企業価値は算定されません。また、手元の資金が十分で資金調達を行わなければ、事業が順調に成長していても、企業価値は変わりません。
このため、ランキングに載っていない優良スタートアップや、事業が急成長しているのに企業価値が低いままになっているスタートアップがある印象です。
(2)スタートアップの企業価値は、上場企業の企業価値とそのまま比べられない
赤字覚悟で先行投資を続けて急成長していくスタートアップには、当然、リスクがあります。そこで、スタートアップへの投資では、二重、三重に投資家の権利を保護する「優先株」が使われています。
例えば、ある投資家が100億円の企業価値で投資したスタートアップが1年後に100億円で大手企業に買収されたとき、企業価値は100億円のままですが、投資家にはそれなりのリターンが出るような仕組みになっていたりします。
このため、スタートアップと上場企業の企業価値を単純に比較することはできません。
(3)スタートアップの企業価値=将来への期待値
日経NEXTユニコーンのランキングは、客観性を担保するために、直近の資金調達で発行された株式の価格から企業価値を算定しています。
しかしそこには、上記(1)(2)の通り、スタートアップならではの特殊性に注意が必要です。
スタートアップ経営者としては、企業価値はあくまでも、私たちウェルスナビのチームのミッションやビジョンの実現に向けた期待の大きさだと受けとめています。大きな期待に応えられるよう、一歩一歩、着実に歩んで参ります。
2018年世界のFinTechに集まった投資額は約4.3兆円。前年比2.2倍という大きな伸びになっています。件数も1700件を超え、前年比1.5%アップ。
このことからもわかるように、1件あたりの投資額は増えています。
米国や英国、インドなどに比べ、明らかに見劣りする数字。スタートアップ投資などのあり方もかなり違うように感じる。
日本の場合は世界でも特異なマザーズ市場があるので時価総額100億円前後で上場してしまうゆえ、本質的な意味で国際比較するならマザーズも入れて見るのが概ね妥当なわけですが、それでもユニコーン社数は一桁半ば。
米中の200社前後はともかく、インドや英国の20社強、韓国7社、インドネシア4社など、国の経済規模に比してやはりまだ日本は少ない。これはスタートアップがどうのという問題もありますが、資本市場の仕組み、人材マーケットの問題など、社会構造全般の性質によります。
いずれにせよ産業の新陳代謝が国家の未来を創る、したがってスタートアップ支援にどの国も血道を上げている。まだ道半ば。スタートアップ輩出自体が国際競走になっています。
VCの投資意欲は衰えてはいませんが、業界業種を絞り込んで来ており、そろそろベンチャーの選別が始まると思われます。
行わないと変動しないので、「成長して、なおかつ新規資金調達をした」企業が上に来る仕組み。「成長しても、調達をしない」会社の企業価値は据え置きになる。
それを踏まえても、AI、フィンテック、Eコマース分野は順調に成長し、資金も必要に応じて集まった一年だったと、マクロでは評価できる。
とはいえ、日本のスタートアップはまだまだこれから。
デジタライゼーションの加速度的な進展を背景に、来年はもっとすごくなっているはず。
さらにいえば、グローバルな勝ち筋と、国内の勝ち筋はちょっと異なる。各社がどちらの文脈で勝っているか、も頭の片隅に置きながら、帰趨を見ていくと、面白いはず。
個人的には、五常アンドカンパニーさんなど、社会的インパクトを生み出す事業に資金が集まっている流れを歓迎したいです。社会的インパクト投資が、投資の一つの潮流となっていってほしいです。
1位: プリファード・ネットワークス3515億
2位: TBM1218億
3位:スマートニュース1128億
企業価値が100億円を超す企業は3割増え、63社とのこと。