はしか感染で免疫システム「リセット」、米研究で明らかに
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この研究で最も興味深いと感じたのは、参加者はオランダ国民のようですが、皆宗教上の理由で麻疹のワクチンを打つことを拒否している方たちで、それでもなお(あるいはだからこそ)麻疹の影響に関する研究に協力したという事実です。
これらの参加者で観察された結果として、過去の免疫の記憶が平均で20%「リセット」されていたのみならず、まだナイーブでこれから何らかの病原体への免疫を記憶するための新しい細胞も減少していたとのことです。すなわち、記憶をリセットされるのみならず、新たに記憶する力も減少させる可能性があるということです。
ただし、あくまでも血液検査レベルの結果であり、これが現実世界にどれほどのインパクトをもたらす研究結果なのか、どれほど一般化できるのかは明らかではなく、これはまずい!と飛びつくのは時期尚早かと思います。
このような研究を大々的にリリースする背景には、ここ数年のワクチン忌避の広がりと麻疹の死者数が世界中で10万人を超えたという事実があると思います。毎年世界中で30%以上増と驚異的な割合で麻疹の感染者数が増加し、米国では2019年に過去20年のワースト記録を更新しており、このような研究結果を拡散することで、ワクチン接種を拡大したい狙いもあると思います。
その狙いには賛同します。こういった脅威に対処するためにはしかの予防接種をすれば良いだけだと思えますが、途上国では「予防」という概念が浸透していない地域もあり、普及が遅れている面があります。
先日ノーベル賞を取得したデュフロ教授も「貧乏人の経済学」の中で、問題は必ずしもコストではなく情報や知識の不足が大きな問題だと指摘しています。
情報や教育という面の支援も同時に行う必要があると思います。