【解説】ソフトバンク、WeWorkに「1兆円支援」のポイント
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注目のコメント
とりあえず来週の資金繰り破綻は回避できました。
でもWeWorkは
・FCFネガティブでお金は燃え続けているし、
・WeWorkのオフィサー/スタッフはTenderによるExitと株価下落による保有SO価値の減少でモラールが下がっている(次の仕事を探している)でしょうし、
・カウンターパーティーリスクの増大にて新規物件の取得の難易度は上がっているし、
・債権利回りは上昇しており(既発債の価格の下落。償還期限2025年債は80cエリア)Debt調達のコストと難易度も上昇しているため、
再建を企業をスタンドアローンで運営できる状態に戻し早期に$47bnへのバリュエーションへの回復と定義すると、再建の難易度は高そうに見えます。
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$47bnのバリュエーションで投資を行ったSVFのLPにとっては、投資直後の大幅な価値下落にて、とんでもない案件を掴まされてしまったというところです。
やはりベンチャー/スタートアップ投資は、各ラウンドを1社だけでテイクするのではなく、2社以上の複数社でプライシングと条件交渉をして株式を引き受けるストラクチャーでないと、独りよがりの評価になりがちです。
(日本のVCでも各ラウンドの増資を単独引き受けるのは嫌がるところがあります)
黒木亮氏の「カラ売り屋 - エマージング屋」より以下マーケットの教訓:
> 『低いプライスの案件を組成するときは引受銀行の数が複数であるのが望ましい。単独でやると、馬鹿な銀行が馬鹿なプライスの案件をもってきたと思われるおそるが、複数の銀行が引き受けていれば「今のプライスはそんなものか」と参加銀行は納得しがちだ。』
https://www.amazon.co.jp/dp/B07F1PFTY9/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1取材に応じさせて頂きましたが、改めて申し上げたポイントは3つ。
第一に今回拠出するニューマネー部分$5Bは出資ではなく融資、つまりレバレッジがかかります。ソフトバンクVファンドのCEOラジーブミスラら主要幹部のバックグラウンドはベンチャーキャピタリストではなくバンカー。彼らのソロバンで最終的なSBGの回収プランとして最もメイクセンスな手法として選択したと推量される。
第二に、特色やブランディングはともかくとしてビジネスは単純な貸しオフィスに過ぎない。つまり稼働率がKPI。故にテクノロジー企業等と違って収益予測は比較的見通しやすい。その計画沿った融資スキームをこしらえてGoしたと推量される。
第三に非連結。これはどう見ても道理が立たない。外形的に明らかに支配下にあるにも関わらずデットを使用しボード議決権を意図的に減らす事で連結子会社化はしない、本件プレスリリースでもわざわざ冒頭にその事を表明している。これがまかり通るならIFRSはじめ会計制度の不備と言わざるを得ない。WeWorkの問題が勃発したのは、創業者のニューマン氏の公私混同を含むお行儀の悪さが発端だったわけです。
ただ、それがきっかけで、みんな薄々(人によっては確信を持って)感じていたビジネスモデルの実態とバリュエーションがあまりにかけ離れているという、より本質的な問題が顕在化しました。
高いバリュエーションの根拠となっていた「コミュニティの価値」はあるにはあるものの、470億ドルもの天文学的な価値を正当化できるほどのものはないでしょう、と。
一連の騒動を経て、そういったファンタジーが剥がれた格好ですが、WeWorkユーザーは、自分たちの使用実感から、そんなことにはとっくに気づいていたわけです。
それでも、賛否両論あるものの、ずっと使っているユーザーは使い勝手の良さを感じているんですよね。
詰まるところ、これまでのようなファンタジーな部分は期待できないかもしれませんが、「不動産賃貸業」をオシャレに言い換えた「コーワーキングスペース」の事業としては大アリです。
本文中でコメントさせていただいたとおり、再建のネックはこれまでの過剰投資負担と長期賃貸借契約にともないオーナーに支払い続ける賃料の高さだと思います。
倒産スキームのいわゆる”チャプター11”を使ったほうがいいという声が一部にあるのは、これをご破算にするためですね。