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願わくは、これが次の段階ですぐに宣伝文句に使われなければ、と思います。臨床研究のステップを抜きにして「スマートAIによる脳ドック」がはじまらないことを祈るばかりです。
また、どんな画像を認識させたかによって、精度は異なります。もしも脳血管造影を行なって、動脈瘤が確認された症例だけを集めていたのであれば、精度は高そうです。しかし、人間の読影ベースでやってるのであれば、偽陽性も多く見られるでしょう。
原田先生が医師向けの雑誌に寄稿されていますが、脳のMRI/MRAによる脳動脈瘤のスクリーニングは良い事だけではない事を知っておく必要があります。脳ドックの利点はもちろん脳の病変を見つけることで、被曝がないこともメリットです。
しかし、脳動脈瘤の検出率は記事にもあるように60%〜70%とされており、しかもそれが偽陽性でないことを確認するためにさらなる検査が必要になります。その検査自体のリスクがとても高く、脳動脈瘤を見つけて、リスクを負って検査をしたけど検査によって脳出血が起きたり、実は何もなかったという事が起こりうります。
また、検査を行わない場合、自分には脳動脈瘤があるという危機感を煽り、精神的なダメージを与えます。
これらの理由から、むやみに脳のMRI/MRAを撮影することにはそんなに価値がない可能性がある事を知っておく必要があります。
読影がうまくいかなかった時の責任の所在という意味ではあるかどうか。
(脳ドックに関しては検査の意義そのものに問題があります)以下、御参照。
https://newspicks.com/news/2224565/
しかし、画像診断学においても、教科書レベルな診断の正確性から、さらには深読みしてわかる(推測される)さらに高いレベルの診断もあります。
もちろん画像から確実に言えることだけを診断するというのも大切な部分なのでそこはまさに「機械的」で良いのかもしれません。
さて、話は変わって脳ドックについて、ですが、そこに予後改善効果は証明されていません。
自費ですので受けていただくのは構いませんし、脳動脈瘤がないことへの安心を買えるという意味ではそれは診断精度の高いAIの導入は理にかなっています。
しかし、ごく小さな動脈瘤の破裂は非常に稀であり、それを過度に診断すると、診断された方々の抑鬱反応といった「副作用」も考えられます。専門医が見逃す程度のものは「見逃された方が平和」といったこともありえるように思います。もちろんそれ自体も検証してみないとわかりませんが。
血圧のコントロールや禁煙、適度な運動の方がよほど予後を改善するであろうことを医師としては指摘しておきたいと思います。
ただこの脳動脈瘤というのはくせもので、必ずしも「見つければ良い」というものではありません。年間約1%の確率で破裂して、クモ膜下出血を起こしますが、見つけて手術をするのにも数%の死亡リスクがあるため、見つかった場合は手術するべきか、しないべきかの判断に苦悩することになります。
日本では脳ドックとして広まっていますが、そういった背景から海外では脳のMRIを健診目的で撮ることはありません。このAI画像診断システムがあるからという理由で、日本で脳ドックが更に広まるという、とんちんかんな方向に向かわないように注意が必要です。
診断精度が医師より高いことが認められ、診断時間という観点でも大幅に短縮出来るのではないかと思います。
エルピクセルさんはヘルステック・スタートアップ界隈では実力派の超有名企業。特定の大手企業とだけではなく、複数の医療機器ベンダーと既に連携されています。クラウドの技術も特定のプラットフォームではなく、各社の得意な技術を使い分けています。
診療報酬の観点でも正当に評価されるようになって、患者の為に早く普及して欲しい。
先日の内視鏡AIも然りですが、人間の目を超えるのはよくわかります
保険点数がつくことで日本の医療費を食うのではなく、是非海外に事業展開を図ってもらいたいエリアですね
知識がない自分などは、普段と違う頭痛を経験したりすると大丈夫だろうかと不安になりがち。若くして亡くなる方はいきなり脳出血とかで亡くなることも少なくないなかで、脳ドックを受けたら安心できるのかなぁと思っていたくらい。
画像診断へのAIの活用は個人的にはポジティブ。精度といっても「漏れない確率」(Recall)と「可能性があるとしたものが実際にそうである確率」(Precision)の両面があるので、記事だけではどれだけなのかは分からないが…