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アビー首相は40代の若い首相です。平和賞の根拠は、まだソース情報を確認していませんが、おそらくエリトリアとの紛争解決ですね。ただこれは、2002年には国境線を確定し紛争が終結するはずだったものをエチオピアがごねて長引かせ、不安分子を生み出していたもの。当然という気もします。国際的に開かれていないエリトリアはやはり悪者で、それをうまくマネージしたという文脈なんですかね。
アビー首相については現在、経済そのもののみならず治安にも大きく関わる喫緊の課題である経済改革がやり遂げられるのかが注目されています。様々な施策を打ち出してはいますが実行はすべてこれから。来年実施が予定されている選挙も控え、ほんとうに言ったことを実行できるのか、国内をまとめられるのか、注視されているこの段階でのノーベル平和賞。また、現在国内では、中央政府からの独立を求める動きなどもあり、国民の失望も生んでいるなか、受賞は国内政治においてアビー首相を後押しするものに働く可能性があります。政治家への平和賞は罪作りですね。
追記:
当社の現地スタッフに連絡とったら、エチオピアでは大変な騒ぎでみな大喜びとのこと。自国の首相が受賞したらそりゃ嬉しいですよね。皮肉を中断して、私も喜ぶことにします。
アビー首相は、在任まだ1.5年ほどですが、エリトリアだけでなく、先般のスーダンに見られるように、近隣国でなにかあれば和平に動いてきた人でもあります。
人口は1億人を超え、経済成長率は2017年まで4年連続10%越え。
昨年はケニアを抜いてアフリカ第7位、サハラ以南では第4位の経済大国となっています。
街は建設ラッシュで、高層ビルが次々と建設されており、とてもついこの前までアフリカ最貧国の一つだったとは思えないほどの発展ぶりでした。
マルカト地区などの従来通りのマーケットは想像通りのアフリカンテイストですが、その規模はともかく凄く私が行ったどのアフリカの国よりも大きかったです。
人間以外なんでも売ってるのコピーに偽りなしの、訳の分からんカオスとダイナミックさ。
ともかくパワーを感じました。
こうした経済的な活況の要因は中国の莫大な投資という部分が大きいのですが、その投資を呼び込んだのは20年続いた隣国にして、元々エチオピア領だったエリトリアとの和平が成ったこと。
その立役者が今までエチオピアを支配してきた少数民族ティグレ人やアムハラ人ではなく、最大民族のオモロ人初の首相であるアビー・アハメド氏。
隣国との和平と、国内の民族融和を成し遂げたアハメド氏がノーベル平和賞を受賞したのは、納得できる人選だと言えます。
2018年からは、トルコ経由でシリアやアフガニスタンから来る移民・難民は激減しました(トルコで300万人以上が留められています)。しかし、アフリカ北部から海路でやってくる移民・難民はむしろ増加しました。その中で一番多かったのが、エリトリア人です。次いで、ナイジェリア、ソマリアでした。
エリトリアからの移民・難民が地中海を渡って主にイタリア経由でヨーロッパに入ってくるのを止める、ということをヨーロッパ諸国は非常に重要視するようになりました。
もともとエリトリアは、30年の独立戦争を経て、1991年にエチオピアから独立した国です。しかし、1998年から再びエチオピアと戦争になり、2018年に一応和平合意に達しました。ヨーロッパから見ると、難民流出の元であるエリトリアが安定すれば、移民・難民の流入も止まるであろうという期待が持たれました。
もっとも、エリトリア自体は、安定には程遠い状態です。1960年代からゲリラ戦をしていた集団がそのまま政府となり、独立後も男女とも無期限で徴兵されて、軍務や労役に従事させられるという、国民総ゲリラ制のような国です、北朝鮮とよく似たところがあります。経済発展どころではないでしょう。
にもかかわらず、ヨーロッパに渡るエリトリア難民が減っているのは、EUがアフリカ側、特にリビアの軍閥に資金を提供して、移民・難民を強制収容させているからです。EUがスポンサーになっている奴隷制のようなものです。エチオピアとエリトリアの和平がノーベル賞選考委員会に評価されるのは、移民・難民問題を背景にしてのことですが、実際の阻止地点であるリビアの強制収容所から目をそらすような話題化にも見えます。
まだ各種政策はon the progressとのことで賛否両論あるかもしれませんが、グレタさんが取ったらノーベル平和賞の存在意義に疑義が高まったと思いますし、何より発展途上国から受賞者が出ることは良かったと思います。