米IPO市場が低迷、ウィーワーク上場撤回の混乱で
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注目のコメント
IPO株のパフォーマンスは少なくとも1995年以来の低さとなっているとのこと。ウィーワーク上場撤回の混乱のみならず要因はいくつか考えられると思います。
・投資フェーズでIPOした企業が、トップラインの高成長率を反映したバリュエーションを正当化するための成長率に到達せず鈍化してしまうケース
・先行投資フェーズの後の利益拡大局面が市場コンセンサスより時間がかかっている
・プライベートラウンドのバリュエーション過熱化により、そもそもIPOバリュエーションがインフレ気味でローンチし、一定期間の後フェアバリュー(適正価値)となり、IPO価格と比較するとパフォーマンスが悪く見える
日本のIPOマーケットにおいても、目論見書記載株価から仮条件レンジが下方にシフトし、初値が募集価格を下回るというケースが散見されてきました。この現象の意味するところとして、Nikkei Asian Reviewの記事が面白かったです。
要旨:
上場前に非常に多額の資金を集めることができてしまうため、そこまでの間に投資に参加できるのは「少数のウチワの人たち」であり、上場はその人達にとっての「上がり」にすぎず、その後公開市場での値上がりがあまり見込めないようになった。かつてAmazonが上場した頃は、一般投資家でも早めにAmazonの株を買えば、その後大幅な値上がり益を手にすることができたが、今やそういう夢はなくなってしまった・・
https://asia.nikkei.com/Spotlight/Datawatch/22-years-after-Amazon-s-dream-IPO-startups-shun-public-listings
確かに、一般投資家と限られた職業投資家の間の不均衡が増大しています。上場前にあまりに巨額の私募調達が動くことに憤る人が多いのは、この点も作用していますね。昨今は本邦でもスタートアップが取り沙汰される機会が多くなりましたが、スタートアップが社会に文化として根づかせるうえで、上場後も継続的に力強く成長するスタートアップが出現することが重要だと思っています。
もちろん、上場したとはいってもまだまだ未熟な面が多々あるわけですから、百発百中とはいきません。それでもなお、上場後に持続的な成長を示す会社が一定数出てこないことには、スタートアップが社会からの信任を受けることはないでしょう。社会からの信任を受けないものが、世の中に根づくはずがありません。
そうした問題意識を持ったうえで、微力ながら日々活動していますが、最近とみに感じるのは、こうした問題意識が何も日本に限った話ではないということです。
「取れるときに取る」というのも一つの見識かもしれませんが、スタートアップ全体が総スカンを喰らわぬよう、上場時に投資する投資家が順当にリターンを得れるような資本政策を意識すべきだと思います。
くれぐれも焼畑農業、共有地の悲劇に陥ってしまわぬよう。