「サウジ兵拘束」映像公開 イエメンの親イラン武装組織
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フーシ側から停戦を呼びかけておいてこの軍事行動は流石に予想外。サウジはイエメンに地の利はなく地上軍による侵攻は容易ではありませんので、何かしらほかの手段で対応を図るのでしょうか。当面、イエメン情勢は先が見えない状況が続きそうです。
注目のコメント
フースィー派側の声明では、「3個旅団を包囲し2千人以上を捕虜に、数百人を殺害」とのことですが、映像だと数百人程度しか確認できません。
捕虜の大多数がサウディアラビア人ではなく、外国人傭兵であることが、フースィー派の声明でも述べられています。これは、サウディアラビア軍では通常のことで、サウディアラビア人自身は、前線に立つことは限られています。このイエメン侵攻でも、スーダン政府に金を払って連れてきたスーダン軍や、アフリカ諸国、パキスタンなどから派遣された傭兵がサウディアラビア軍に編成されて前線に送られています。金をもらっているから来てはいますが、戦意は非常に低く、規律も悪いです。
まずフースィー派が指揮車の車列を殲滅して、そうなるとこの「3個旅団」はすぐに何のやる気もない烏合の衆になってしまったようです。パキスタンやアフリカから来た傭兵たちは、元々どちらの陣営でも構わないので、フースィー派に食事を与えられると「アメリカに死を、イスラエルに死を、暴君に死を」というスローガンを一緒に叫んでいる映像が流されています。
そもそもサウディアラビア人は、車の運転から調理、果ては教員や公務員まで、現場の仕事は外国人に丸投げします、彼らがやりたがるのは、書類にサインをする管理職だけです。これは、サウディアラビア軍においても同様で、日本をはるかに上回る世界第三位の軍事費支出で米国製の兵器を大量に買っていても、およそ実戦ができるような軍隊ではありません。公開されたビデオを見る限りフーシ派の声明通り、陸上及び多数のドローンと弾道ミサイルとの連携攻撃で、サウジーUAE連合軍三個旅団を包囲、数千人を捕虜、というほどの大戦果にはとても見えませんが、それでもフーシ軍の強さ、というかサウジ軍の弱兵ぶりが鮮明にわかります。
近代的なアメリカ製の装甲車列が、対戦車ロケットを一丁担いだだけの僅かなフーシ民兵に追いまわされた挙句、隘路に誘い込まれて全滅。
ろくな軍服も着ていない傭兵と思われるサウジ兵が次々と投降する様は、本当に戦争する気があるのかと言いたくなるくらいです。
今回のフーシ派の攻勢が行われたサウジのナジュラーン州の州都ナジュラーンは、実はフーシ派の本拠地サアダとは100キロほどしか離れていません。
実際1934年まではイエメン領でしたからサウジアラビア国内とはいえ地の利はフーシの方にあります。
その最前線の兵力がこれほどまでに弱体となると、いかに近代兵器を多数擁しているとはいえ、サウジ軍が戦況を巻き返すのは容易なことではありません。
足掛け5年に渡ったサウジのイエメン介入戦争は大きな節目に差し掛かっている様に思います。ドローンではなく地上戦になってくるとどの様にこの戦争を収束に向かわせるのか、当時者はいよいよ判断を迫られると思われます。
下記はAljazeeraの記事の原文ですが映像は本物との見立てです。
https://www.aljazeera.com/news/2019/09/yemen-houthi-rebels-release-saudi-attack-video-190929130644121.html
FTの記事では、この事件を受けて、サウジのMBSは原油価格が急騰し経済危機を招く可能性を示唆し、国際社会へ行動を呼び掛けています。中東で戦争といえば第四次中東戦争の際のオイルショックが思い出されます（当時は原油価格が70％上昇しました）。当時と比べるとガスなどの燃料の分散化、省エネや備蓄が進んでいますが、1974年には物価が23％上昇し狂乱物価となった背景にはそれまでの金融緩和政策があるとされていて、現状に近い面もあります。
https://www.ft.com/content/d7b2ca9a-e31e-11e9-9743-db5a370481bc?segmentId=6132a895-e068-7ddc-4cec-a1abfa5c8378
