人工島の領土バトルに判決 「江東区8割、大田区2割」(朝日新聞デジタル)
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注目のコメント
私は江東区民でも大田区民でもなくて,結論が妥当かどうかもコメントできる立場にはないのですが。
今回のような区市町村の「領土問題」・「境界争い」は,固定資産税などの税金の帰属を巡る争いとして起こることが多いです。(東京都の場合,固定資産税は「(特別)区税」ではなく「都税」ですが)
ただそれに限らず,都市開発などの都合上,自分のところの領土だと主張したいケースもありますし,主に「住民の面子」の問題となっているケースもあります。
(富士山頂は,山梨県でも静岡県でもない「境界未定地」ですが,山梨県民と静岡県民が本気でどっちのもんかとディベートしているのを聞くと,「面子」も軽視はできないものなんだなあと感じます。)
事例はそれなりに違いますが,筑波山の境界が争われた訴訟で,最高裁判所は,昭和61年5月29日,司法が境界を判断する場合の基準について,次のように述べています。
「区分線を知り得ない場合には、当該係争地域の歴史的沿革に加え、明治以降における関係町村の行政権行使の実状、国又は都道府県の行政機関の管轄、住民の社会・経済生活上の便益、地勢上の特性等の自然的条件、地積などを考慮の上、最も衡平妥当な線を見いだしてこれを境界と定めるのが相当である。」
・・まあ,「なるほど,よう分からん」って感じですね。
最高裁の考え方をベースにしたとしても,領土を主張したい自治体は,結局,自分たちにとって有利な事情をフルコース大盛りで主張しなければならんということになります。
ちなみに,筑波山の境界に関しては,昭和5年には自治体間での紛争が始まり,戦後も,昭和32年に第一審(水戸地裁)での審理が始まったものの,第一審判決が出たのは昭和38年,第二審(東京高裁)の判決が出たのは昭和57年,最高裁判決が出たのは上記の通り昭和61年です。
・・裁判が始まってから終わるまでの期間だけでも29年間という,びっくりするくらい長い年月がかかっていますね(他方で,昭和の長さも感じますが)。
さすがに,今回の件がそれほど長期化するとは思いませんが,控訴審に移る場合には,最終決着までにはまだまだ時間がかかりそうです。