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イスラエルで今年4月に続いて、2回目の総選挙が行われたのは、ネタニヤフ政権の与党連合が過半数割れしたからです。
 イスラエルの国会は一院制、120議席です。与党連合は、ネタニヤフ首相のリクード(38)とユダヤ教の宗教政党や民族主義政党の連合でしたが、ここから民族主義の「イスラエル我が家」が宗教政党を嫌って離脱したことから、与党連合の過半数割れ、今月の再選挙に至りました。
 再選挙の結果は、ネタニヤフ首相のリクードと宗教政党t・民族主義政党の合計が、55議席と見られ、過半数に足りません。一方、野党の青白連合と他の左派政党の合計は、43議席です。残りは、アラブ人政党(13議席)とネタニヤフ政権から離脱した「イスラエル我が家」(9議席)です。
 アラブ人政党と組むのは、今や禁じ手で、無理でしょう。「イスラエル我が家」は、ネタニヤフ首相のリクードと青白連合が組み、宗教政党を排除するのであれば、政権に入る、と要求していて、キャスティング・ボートを握っています。
 前回4月の選挙結果以上に、過半数を押さえられる勢力が無く、再選挙をした甲斐が無かった、ということになっています。
イスラエルは単一選挙区の完全比例代表制で、議員ではなく政党に投票します。
完全比例代表制は仕組み上政権が安定せず、1948年の建国以来200以上の政党が乱立し、過去単独過半数に達した政党は1党もありません。
つまりイスラエルの政治は常に連立政権となり、その組み合わせによって政治の方向性が決まることになります。

従ってどこの政党が勝ったか負けたかより、政権がどのような組み合わせの連立になるかがはるかに重要で、今回も4月の総選挙の後、純粋ユダヤ教徒への兵役免除問題で対立した結果、極右政党のイスラエル我が家との連立が期限までに成立せず、僅か4ヶ月で再選挙となりました。

今回の総選挙では与党リクードがネタニヤフ首相の汚職問題が響き(最悪逮捕の可能性もある)7議席減で31議席となりましたが、最大野党の青と白も3議席減らして32議席となり、アラブ系政党のジョイントリストが4議席増の14議席、極右政党のイスラエル我が家が4議席増の9議席と躍進しました。

数字だけ見るとジョイントリストと手を組めば政権を確保できる可能性があるのですがが、アラブ系と手を組むという選択肢はイスラエルではありえない選択で、他の連立パートナーが離脱してしまう為不可能です。
又今回最大政党となった青と白も、連立の見込みが全く立っておらず、連立工作は第二党となったリクードを中心に行われるものの、実質的に極右のイスラエル我が家が、一層キャスティングボードを握る結果となりました。
最終的な組み合わせで大きく左右はされますが(リクードと青と白の大連立の可能性などが噂されているようです)、現時点の情勢だけ見ればこのところ右寄りの方向に進んでいるイスラエルの右傾化が更に進む可能性が高い結果となったと思います。
タカ派、ハト派の対立軸に加えて宗教保守と世俗、ユダヤとアラブといったさまざまなカテゴリーを代表する小政党が乱立、それぞれが連立交渉のたびにキャスティングボードを握るので、イスラエルの連立政権はいつも、不安定。何十年も前から、この構図はずっと変わっていません。
The positive: even if he loses, he still goes out as Israel’s longest-serving PM
The negative: even if he wins, he still faces corruption charges

<コメント元記事>
http://bit.ly/2NuFd9d
イスラエル総選挙が大接戦。ネタニヤフ率いる与党は過半数ならず。ここから連立交渉だけど、簡単にはいかなそう。イラン情勢も緊迫するなか、どんな連立になるか。中東が世界の火薬庫というのは変わらない
揺れ戻しですかね。
常に全方位に敵を作るスタイルのこの国も、そろそろ穏やかな生活が恋しい人が増えつつあるのかもしれません。