トランプ氏、タリバンとの和平協議は「死んだ」
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トランプ大統領は、他ならぬ9月11日の記念日に、米国でターリバーン代表団と「和平」達成を祝う華々しい会見を行いたかったようです。トランプ大統領はあまりそういう感性はないようですが、「不謹慎である」というのが大方の反応であり、ペンス大統領をはじめ、米国政府内部に反対意見が多く、取り止めになったようです。
「和平」交渉は、主にカタールにおいて進められていますが、9月1日にある程度の米軍撤退の条件が米国政府とターリバーンの代表の間で合意されました。この報告を受けて、トランプ大統領はこれで「和平」ができると早合点したようです。
「和平」といってもいろいろあります。9月1日にできた合意は、米軍はアフガニスタンから撤退し、ターリバーンは「テロ組織とは組まない」などの条件付きでフリーハンドを得るといったものでした。ベトナム戦争終盤の米軍の撤退に近い内容でしょう。
米軍のアフガニスタン侵攻を主導したのは、いわゆるネオコンでした。彼らの戦争目標は、アフガニスタンに民主主義を根づかせ、米国の同盟国にすることでした。ネオコンにすれば、イラクや他の中東諸国をそのようにすることが米国の安全保障と長期的覇権には必要でした。そのような戦争目標は、達成されないでしょう。
アフガニスタンがどうなろうがどうでもよく、そこで米兵が死に、米国政府の莫大な予算が費やされるのは我慢がならない、というのがトランプ大統領の立場です。これは、多数の米国人の素朴な庶民感情を代表するもので、トランプ氏が支持された所以の一つでもあります。トランプ大統領としては、米軍が撤退できればどうでもいいのでしょうが、米国政府の安全保障の専門家たちにはそれは我慢のならないことです。この件に関しては、欧州でも様々な報道がある。たとえば、トランプ大統領は来年の大統領選に向けてアフガニスタン問題の解決を手柄にしたかったのだが、それまでの解決は時間的に難しいようなので、一転して強い姿勢をアピールし始めたという見方がある。
アフガンの現状をみるとアメリカが引くのは当面は危険というのは妥当な判断にみえます。ただ、和平をうまくまとめるための「タリバンへの脅し」かもしれません。