アルゼンチンで銀行に行列、外貨取引規制受け預金引き出し相次ぐ
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1989年から90年は、債務の利払い遅延が拡がってアルゼンチンが経済構造の調整を求められた時期でした。2001年から2002年は、長らく1ペソ1.0ドル程度で安定していた通貨が一気に1ドル0.4ペソ以下に切り下がり、デフレ気味で推移していた物価も年率25%程度のインフレに転じています。そういう中で預金の引き出しを制限すれば、債務を負った政府や企業が助かって、預金していた個人は損をする。これが俗に言われる“インフレ税”。
国民が生み出したモノとサービス、つまりGDPのうち政府の取り分は国民から集める税金です。政府に税金を払った残りは民間の取り分です。政府が借金して取り分以上にモノとサービスを使い続ければ、いつかは民間の取り分から不足分を取り上げなければなりません。危機はある日突然やって来る。取り上げ方は増税かインフレ税かの選択ですが、アルゼンチンはインフレ税が経験値。
「介入主義的政策が復活」とありますが、マクリ氏さえもバラマキ政策に転じる兆候が出たということで、いずれ“増税”は避けられません。そんな中、「ペソの対ドル相場が25%近く下落」すれば、またぞろインフレ税を召し上げられると考えるのは当然です。預金の引き出しは、いわば事前の節税手段。国民が慣れているからいいけれど、そうでない国で起きたら騒動はこんなものでは済まないのかも (^^;)久々のbank run (取り付け) ですね。しかし、預金引き出しに制限はなく、月106万円までは送金もドル換金も可能となると、個人の通常の生活にすぐに影響が出るわけではなさそう。
それでも、ban runが起こってしまったのは、記事の通り、過去のトラウマのため。こうしてみんなが"自分だけは"と預金封鎖前に引き出そうとすることが、結果として銀行の危機を招いてしまう、まさに「合成の誤謬」の発生が懸念されます。<追加コメ>日本からアルゼンチンに進出している企業にとっても影響が出てくる恐れがあります。この記事には書いてませんが、アルゼンチン国内の法人が外貨購入したり海外送金する場合、中銀の事前承認が必要になっています。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/09/11a70022c8be3b5e.html
利益や配当金の海外送金も然り。これもキルチネル政権時の状況と同じ。A・フェルナンデスが選挙に勝っても経済政策ではすべてマクリがフェルナンデスがやりたかったことをやってしまっている(ただし、今回の資本規制は今年末まで)という・・・誰も予想しなかった展開。
<元コメ>
アルゼンチンとブラジルの現代における決定的な違いの一つに、自国通貨に対する信頼度があると思っています。アルゼンチンの国民は自国通貨ペソを全くといっていいほど信頼していませんので、富裕層に限らず、隣国のウルグアイなどに外貨預金などをしている人も多いです。経済の不安定な国で生きのびる知恵ってものを持っています。
そういう人たちはペソが下落しても平気。