“同性愛遺伝子”存在せず 国際的なグループが発表
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論文の原文では、「同性愛の遺伝子が存在しない」と言っているのではなく「たくさんの遺伝子が影響する」と書いてあります。一つや数個の遺伝子で決まらず、多くの遺伝子が少しずつ影響しており、また環境要因も複雑に影響し合って表現型に現れているということですね。
原文はこちら↓
https://science.sciencemag.org/content/365/6456/eaat7693論文はこちら。
https://science.sciencemag.org/content/365/6456/eaat7693
Large-scale GWAS reveals insights into the genetic architecture of same-sex sexual behavior
同性愛者は全人口の2〜10%存在すると見込まれており、双子や家系の研究から遺伝的要素がありそうなことがわかっていましたが、遺伝子の個人差に注目して網羅的に解析したのが今回の論文です。
その結果、同性愛は1個や数個の遺伝子で決まるものではなく多数の遺伝子が影響しており、しかも遺伝子の影響すべてを足してもその影響力は8〜25%程度に過ぎないことが判明。つまり、遺伝子解析だけで同性愛かどうか判断できず、環境や経験のほうがはるかに影響力が大きいというわけです。
ただ相関する遺伝子を見ると、好奇心やリスクを伴う行動と関連するものがあり、人間の複雑な行動や心理を理解する基礎研究としてはかなりおもしろそうです。
あと、50万人データはイギリスのUKバイオバンクと、アメリカの民間業者23andMeがもとになっています。日本でもこれくらいの規模の研究がどんどん進んでほしいです。専門ではないので,受け売りでしかないが,橘玲著「もっと言ってはいけない」 https://amzn.to/328hxuq を思い出した.
「同性愛は生得的なものか?」 1980年代,米国心理学者がゲイがいる一卵性双生児と二卵性双生児の双子の調査から,性的思考は遺伝のみで決まるとは言えないが,同性を好きになるのはかなりの程度,生得的なもので,親の子育てや本人の努力ではどうすることもできないことを示唆した.
1990年代はじめ,米国立がん研究所の研究員が家系調査を行ったところ,性的指向に関係する遺伝子がX染色体上に存在することを示した.さらに40組のゲイの兄弟のうち33組がある特定のマーカーを共有していることがわかった.しかし,追試の結果はまちまちでいまだに結果がでていない.別の染色体との関連も見つかっており,性的指向が遺伝的なものであるとの認識は専門家の間で共有されつつあるが,何か特定の遺伝子があるのではなく,複数の遺伝子と環境がかかわる複雑な過程できまるのだろうと,橘玲氏は言っている.
ちなみに,キリスト教社会において,同性愛遺伝子が存在すると発表されると一大センセーションを巻き起こし,同性愛を神への冒涜とみなす保守派は批判を強めた.同性愛の権利を訴える活動家からも差別を助長すると非難されている.
面白い話は,同性愛に遺伝がかかわっているのなら,なぜ進化の過程で子孫を残さない同性愛が淘汰されなかったのかということ.研究もされていて,まあ,本を読んでください.