【吉野彰】基礎から学ぶ、EVを支える「電池」の最前線
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やっとリチウムイオン電池の正極材料のハイ・ニッケル化の話が出てきましたね。
ただ、ニッケル増やせば容量が増えることは、吉野先生にご登場頂かなくても関係者は皆知っています。なぜ今まで三元系NMC(記事中はNCM表記。どちらでも良いと思います)が1:1:1や6:2:2の比率におさえていたかというと安全性の問題です。いわば高Ni化は禁じ手なのです。
パナソニックのアルミニウムを使ったNCAも同様です。本来ならパナは現状のNCAを出すつもりは無かったのですが、テスラにパック技術で安全性を担保するということで出した経緯が有ります。
そしてNMCも高Ni化していきましたが、NMC811は一旦量産をペンディングする動きもみられます。確かCATLもそうだったはずです。
つまり現時点のリチウムイオン電池は、電池の容量を増やすために高Ni化を進め、安全性を犠牲にしていると言えます。GWhクラスの普及期に入ろうとする段階で、この安全性軽視の流れはかなり危険です。そのためリン酸鉄系のLFPに回帰する動きもありますが、老舗のBYDでもLFPとNMCは半々にしています。
こうした現状から全固体電池に期待が集まっているのですが、固体イオニクスの世界はまだまだ材料が出揃った段階に過ぎません。吉野先生自身が辿った経緯でも、元々白川先生の導電性プラスチックをリチウムイオン電池に使うつもりでした。それが最終的に炭素負極に落ち着いたという話は書籍にもなっています。
また全固体電池は液体の電解液を固体電解質に変えた電池の総称で、固体電解質に変えたからといって電池の容量は上がらないと思って良いと思います。正確に言えば固体電解質にすることで積層構造に出来るので、限られたスペースに貯められる電池の容量は増やせます。体積エネルギー密度は正極と負極の組合せで決まりますが、電池パックあたりのエネルギー密度が向上する可能性が全固体の場合にはあるということです。そして安全性が増すと巷では言われてます。
全固体電池については、一度詳しくNewspicksで特集し直した方が良いかもしれませんね。期待先行で誤った理解も多くコメント欄に見られるので。わかりやすい言葉で語られていて、週末の休みモードの頭でも理解しやすい記事ですね。
加えてそもそも電池とは、というところからわかる超図解記事もありますので、こちらもぜひ!
https://newspicks.com/news/2810308?ref=search_191959EVの動力源である「車載用電池」は、量だけでいえば中国メーカーに猛追され、長らく業界トップだったパナソニックは2位に順位を落としています。しかし技術レベルでは、まだまだパナソニックの方が上。CATLはまだ「安かろう悪かろうの」の範疇を出ていないというのが、吉野さんの意見です。
確かに次世代電池に位置付けられる「全固体電池」についても、CATLは距離を置いています。単純にまだ必要ないと思っているだけかもしれませんが、既存産業の「次」を狙う中国にとっては本来、最も注力して覇権を握りたい分野のはずです。
そうした背景を踏まえると、おそらくまだ技術が追いついていないのかもしれません。基幹技術で今、どれくらい中国との間に差があるのか。日本のものづくりの将来を占う上でも、しっかりと取材して解き明かしたいと思います。