「重要な路線のシフトが起きる」 成田空港社長、羽田枠増で
コメント
注目のコメント
成田が開港したのは、そもそも1960年代の土木技術では旧羽田空港沖合の埋め立てが困難とされたためです。都心への距離を考慮して新幹線を着工していましたが、おりしも名古屋周辺で新幹線の騒音・振動が裁判沙汰になっていたこともあり結局凍結となってしまいました。
その後は羽田は国内、成田が国際という棲み分けでやってきたものの、羽田は土木技術の進歩により順調に拡張を続け、第4滑走路も供用開始となったことから再国際化がスタートしました。一時は「成田縛り」などという各国に前例のない行政指導がありましたが今や有名無実化し、各国のキャリアは続々と羽田に軸足を移しつつあります。先日デルタ航空がノースウェスト時代からハブとしてきた成田からついに撤退すると発表し、話題となりました。
しかしながら、羽田だけで首都圏すべての航空需要が捌けるわけではありません。羽田と成田の両輪がそろって初めて首都圏の玄関口となりうるわけで、どちらかしか残らないといった極端な話にはなりません。
それでも成田についてはアクセスの面で羽田に比べ引けをとるのは確かですから、利便性を高めて羽田に対抗できる力をもつことは重要となります。利便性というのは都心への所要時間だけではなく、乗り換えが少なくシームレスに移動できるか、沿線の一般利用者と混在してラッシュ時に満員電車にならないか、低価格バスを東京や大崎だけでなく他の主要駅にも広げられないか、ということや、空港内に滞在型の施設を拡充することで利用者にとって使いやすい空港整備を進めることも含まれます。
前任の夏目社長はJR東日本で「駅ナカ」ビジネスを発展させてきた方で、単なる通過点に過ぎなかった都心の駅を見事に生まれ変わらせた方でしたが、成田空港は単にお土産物を売るだけではなく、利用客が滞在してお金を落とす仕組みにすることが重要となるように思います。ともかく成田空港の最悪の欠陥は運用時間の短さ。
成田の運用時間は午前6時から午後11時まで。
しかも午後10時台はA滑走路とB滑走路各10回ずつの計20回までという使用制限があり、特に欧州便など利用が集中する夜間の時間帯は一便が遅延しただけで、後の便の予定が大きく狂うという構造的なリスクを抱えています。
(滑走路手前で前の飛行機の離陸待ちで待ちぼうけを習った経験は誰でもあると思います)
利用者のサービスの面でも、レストランや売店等も大半が21時までに閉まってしまい時間を潰すことさえ一苦労。
夜間の人気の無さといったら本当にここが日本の国際ゲート空港なのかと疑うほどです。
ただでさえ交通の利便性で羽田に大きく劣るのに、このように実際の運用でも24時間空港である羽田との差は大きすぎます。
因みに現代は羽田、関空、中部国際の大都市圏の空港はもちろん、那覇空港や北九州空港といった地方空港でさえ24時間運用であり、主要先進国の国際ゲート空港で24時間運用でないところは殆どありません。
勿論、私もかつての三里塚闘争を知っている世代ですから、何故成田がこのような欠陥空港になったのかは理解はしています。
しかし海外旅行や海外出張が庶民には全く縁のなかったあの時代とは異なり、現代では国際空港は国の重要インフラの一つです。
今こそしがらみを断ち切り24時間化に動くべき時なのではないでしょうか。