【完全解説】生命のレシピをつくる、異端科学者の「正体」
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自然界にない、生存に最低限必要な最小の人工ゲノムを持つ微生物「ミニマル・セル」と、研究チームを率いた生命科学界の風雲児、クレイグ・ベンターについて寄稿しました。
2016年にこの論文について取材し、その意味を理解した時の驚きは、今もはっきり覚えています。科学記者をしていると時々、研究内容の凄さに血湧き肉躍る瞬間があるのですが、その時もまさにそうでした。
そしてクレイグ・ベンター博士も、知れば知るほど面白い、破天荒でかつ実行力のある人物なのです。
彼は自身が設立した研究所に一流の科学者を集めて約20年間もの長期にわたってミニマル・セル・プロジェクトを率いました。しかも並行して、ヒトゲノム解読競争に参戦したり、幾つもの会社を設立し、経営に携わったりしています。
ミニマル・セル・プロジェクトの最初から関わっているクライド・ハッチソン博士が、取材時にこう話していたのが印象的でした。
「クレイグは人々を集め、素晴らしいことを完遂させることができる。私は彼がどうやってそれをするのか理解しようとしてきたが、未だにわからない」
私が最も好きなテーマの一つで依頼してくださったNewsPicksに感謝します。ベトナム戦争を経て、人が変わったように勉強して科学者になったというベンター。科学者としての腕もさることながら、既成概念にとらわれない発想には驚くばかりです。倫理的課題に対する、綺麗事でないベンターの見解にも、説得力があります。
クレイグ・ベンターは、かっこいいですよね。3年ほど前彼が来日したときに会いに行きましたが、人工生命だけでなく、不老長寿や、バイオロジカルトランスポーテーションに挑戦したりとすごい人です。この記事で紹介されている書籍『合成生物学の衝撃』もお薦めです。