19年度米財政赤字、当初10カ月で前年度全体を上回る
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だからといって、「米国でMMTに対する支持が広がっていることが背景にある」というわけではありません。むしろ、ここ数年の財政規律の緩みが、頂点に達しつつある印象です。象徴的な出来事は、金融危機後の財政再建のために実施されてきた歳出上限について、21年度での廃止が正式に決まったことですが、その一方で、財政赤字の拡大に対し、居心地の悪さを感じさせる世論の動きも散見されるようになっています。大統領選挙後の仕切り直しで、今後の方向性が決まっていきそうです。
注目のコメント
景気拡大期に財政赤字が減らないのは、経験的にも異例ですし、理屈的にもあまり望ましくありません。トランプ大統領が主張するように、米国の潜在成長率が3%なら歳出拡大は正当化されますが、コンセンサス通り2%にすぎないのであれば、歳出増は景気を過熱させ、景気後退のタイミングを早める原因になりかねません。
サービス収支と所得収支は増えているものの貿易収支が赤字幅を大きく広げ、このところ、経常収支の赤字も拡大しています。減税などで政府が財政赤字を膨らませ、民間の消費と投資を後押しすれば、貿易赤字が膨らむのは当然で、米国官民の過剰消費体質を放置したまま貿易赤字を問題にして中国を始めとする各国を攻め立てても、問題は理屈の上で解決しない。当初から言われていた通りのことが起きているわけですが、そんな理屈はお構いなしに突き進むのがトランプ大統領流だとしたら、財政収支と経常収支の双子の赤字はこの先も膨らみそう。「税制改革が経済成長を刺激して歳入増をもたらす」というのは財政拡張で国民の歓心を買いたがる政府がしばしば口にするところですが、支出の抑制を伴わず財政を立て直した例は寡聞にして聞き及びません。
普通の国なら通貨の急落などが心配されるところだけれど、そこは基軸通貨であるドルを持つ米国です。急激なドル安で混乱したりはしないでしょうが、FRBへの強烈な金融緩和圧力も相俟って、トランプ大統領が望むドル安を後押しすることにはなるかもしれないな・・・ (・_・;)ウーン