【山口周】新時代の「デキる人材」=ニュータイプを解剖する
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注目のコメント
機動戦士ガンダム40周年の今年、「ニュータイプ」が話題になるとは感慨深いものがあります。
どちらがニュータイプか言い争いながら、取っ組みあったのがよい思い出です。
「今は「ソリューションリッチ」、言い方を変えれば「問題プア」な社会です。問題プアな社会では、極めて難度の高い問題以外は、おおかた解決されてしまっています。つまり、従来高く評価されてきた「問題解決力」は、あまり出番がありません」
「今の世の中、「人生は生きるに値する」と感じさせてくれる何かのために、人はお金を出します。便利さのためにお金を出すわけではないのです」
時として、人を救う医師や研究者、あるいは経営者などよりも、感動を生み出すスポーツ選手が大金を得る時代。
そう考えると、「感動」を生み出せることが、現代のニュータイプの条件でしょうか。モノが溢れた時代。大抵の問題の解決策はすでにある。
だから人々は「機能的価値」だけでモノを買わなくなった。機能的価値が横並びなら、安いものを選ぶようになった。安くても良いものが増えた。
一方「体験的価値」「情緒的価値」「自己実現価値」といったイミには惜しみなく金を払うようにもなった。自分の価値観と合うかどうか、自分が描きたいライフスタイルを実現してくれるかどうか、そして、ハッピーになれるかどうか。
日本の大企業は、薄っぺらい標語やKPIをビジョンやミッションと勘違いして掲げ、機能的価値だけを提供している。そこに人をワクワクさせるものはない。社員もワクワクしていない。だから機能的価値だけを追求した製品が出てくる。顧客が求めていないものばかりを作る。
失われた30年は、ビジョンなき迷走が原因だったにも関わらず、その総括が未だに出来ていないとも言える。
顧客の課題と徹底的に向き合うことももちろん重要。しかしそれ以上にビジョンを掲げることが重要。モノが溢れた社会に生きる今こそ未来志向と未来思考でイミを定義することだけが、現状維持という「約束された沈没」から抜け出すためのたった一つの方法だ。自分の喜怒哀楽を生み出す感性を磨いて、例え一部の人であったとしても、自分が誰かに「人生を生きる意味」を感じられる何かを提供できるように努力することが必要なのだと思います。
津々浦々でものが溢れている時代において、これは、都会のビジネスエリートだけの問題ではありません。
自分の生き方にしても、自分が生み出すものにしても「意味」が強く問われる時代になったのだと思います。