派遣と正社員の格差縮小へ。賃金アップも素直に喜べない理由
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日本以外の普通の国の従業員は、フルタイム、期間の定め無し、直接雇用の3つが揃えば正社員。終身雇用と年功序列はありません。それぞれが自律的にジョブのスキルを磨き、勤め先に自分が得意とするジョブスキルを活かす場がなくなったら、相応の補償金を貰って職場を変えて行く。どこに転職しても、パート、派遣、有期など雇用の形が違っても、各人が持つジョブのスキルで賃金が決まるから、自ずと同一労働同一賃金が実現します。
一方、上記の三つの条件で人を雇うと、法的にも判例の上でも自動的に終身雇用の義務が伴う日本の正社員は、本質的なところで「同一労働同一賃金」ではありません。仕事は会社が決めて与えるものですから、各人が磨くジョブのスキルは、本人の意思でなく会社の意思で決まります。今日まで経理にいた人が明日は営業、といった人事が行われる以上、ジョブのスキルで賃金を払うことは難しく、自ずと年功序列が定着します。年功序列で賃金が決まるから、同一労働同一賃金にはなり得ない。
日本で使われる「同一労働同一賃金」という言葉は、非正規従業員の賃金を日本の特殊な正規雇用者と同じにすることを意味していますが、我が国がいま本当に為すべきことは、高度成長期に我が国に定着した年功序列終身雇用という特殊な、あるいは特異な仕組みを変え、雇用形態に拘らず、各人が自律的にジョブスキルを磨き、変化が激しい時代に適合できる、真の意味の「同一労働同一賃金」の仕組みを作ること。
そういった時代の変化を無視し「派遣社員の派遣先での勤務経験が長いほど能力・経験値が上昇するという前提で賃金の目安を作成し、年数に応じた昇給を派遣会社に求めていく」という厚労省の方針は、日本の特殊な制度をますます固定化させ、従業員の自律的な働き方と企業の力をますます沈み込ませることに繋がります。競争に晒されず、年功序列終身雇用の恩恵を安心して受け続けられる公務員ならではの、ある意味無責任な発想であるように感じて仕方がない・・・ (・_・;)
「今回、同一労働、同一賃金の実現が、一種の年功序列によって実現する結果となったのは、何とも微妙なところです」とありますが、様々な規制が屋上屋を重ねて変われないまま沈んでいく我が国の残念な側面を、こんなところにも見る思いがしないでもありません。かなりの部分、納得させられる記事でした (^^;日本では、いわゆるメンバーシップ型採用が主で進んできた歴史があり、これは言い換えれば組織コミットメントを求める行為といえる。従って、テンポラリースタイルは組織コミットメントが低いと見做され、故にノンコアでありアウトソース出来るような作業が切り取り割り当てられできた。
他方、派遣産業は海外からの輸入であり、そもそもは専門職=プロフェッショナルの派遣である。背景はジョブ型の採用慣行である。
ここに1つめの大きなギャップがある。
すなわち、メンバーシップ型の採用から脱却できないまま、形のみ専門職スタイルの派遣を入れているのだから、賃金体系があうわけがない。
2つめのギャップは、働く側が何を希望しているか?である。
メディアでは、好まざる派遣形態のみが着目されるが、好んでまたは必要に応じて派遣形態で働く方も一定数存在し、彼らにとっては、年数のしばりは働く機会損失が増えるにすぎない。
人材産業は、企業と働く方双方のマッチングであり、双方のプラスマイナスの思惑が存在する。
アウトソースしている作業にかかる賃金アップで、少なからず企業の利益体系は変化するわけであり、シンプルな解決方法は、その総量の規制である。それは、好んで派遣形態で働く方にとっては、働く場所を失うきっかけになるのである。正社員と派遣社員が同じ責任や成果水準を求められているなら納得の制度だけど、少なくとも過去にそういう事例はあまり見ていない。いつまで、仕事=成果ではなく、仕事=時間で考えてるのかな。