【新】矢沢永吉、70歳。「不器用で結構だ、ヨロシク」

2019/8/10
【矢沢永吉】俺が追いかける、たった一つの道
あと少しで70歳になるんですけど(9月14日が誕生日)、70に近づけば近づくほど、より考えがクリアになりました。
「なんだ、俺は同じことしかやれないのか?」って悩んだこともあります。
ほとんどの男は、みんな不器用なんじゃないかな。それでも、俺は自分に言いました。「お前、大丈夫。これでいいんだよ」って。「不器用で結構だ」って。
【矢沢永吉】怖くても面倒でも「新しい扉」を開けるしかない
ミュージシャン人生の中での一番大きなターニングポイントは、やっぱりキャロルというロックバンドが終わったとき。
 悩んで悩んで悩んだけど、もうバンドはやらない。俺はソロでやる。肩からベースも外す。一本で、ピンでやっていく。そう決めた。言葉で言うのは簡単だけど、怖かったです。
次のターニングポイントは、後楽園球場でライブをやったとき。今の東京ドームです。あの時代、矢沢永吉という名前がピークになっていたんです。
「おい、この先はどうする?」って思った。それで「よし、アメリカに行こう」って決めた。
そうやって本場に行ったら、すげえヤツらばっかりいた。日本に来たら「トップ中のトップになっちゃうんじゃない?」っていうのが、向こうには2軍あたりにゴロゴロいるわけ。
【矢沢永吉】どっちみち時代の波が来るなら、すぐやっちゃおうよ
10年前、自分のレコード会社を作りました。
「あ、これは来るな」って感じたら「やっちゃおうよ」って、すぐに決める。どっちみち新しい時代が来るんだから、新しいことをやっとかないと。
今はコンサート制作も、レコード会社もやる、それからスタジオもうちの会社でやる。そうしたら、だんだん組織が必要になってくる。
いろいろやってるように見えるでしょう? でも、一本の筋が通ってるんです。それはミュージック。
【矢沢永吉】CDが売れない時代に6年前のベスト盤が売れている理由
CDが売れなくなったって言われてるでしょう? でも僕の「ALL TIME BEST ALBUM」は、ものすごく売れてるんです。
出したのは6年前だけど、今、また売れ行きが上がってるんだよ。若い人が買ってくれるのも嬉しいね。
【矢沢永吉】いつか“その日”が来るまで、ステージに立つ
ニューアルバムのタイトルは「いつか、その日が来る日まで...」。
制作をしているうちに、タイトルがスッと浮かんだんですよ。「ああ、7年ぶりなんだな」という気持ちと、「俺、いつまでやるんだろう」っていう気持ちがあって。
【矢沢永吉】洋楽かぶれを経てたどり着いたオリジナルの音作り
今回のアルバムは、できるだけ日本人のミュージシャンでいきたいなと最初は思ってたんです。
だんだん作っていくと、「この曲とこの曲のドラムとベースは、どう逆立ちしてもロサンゼルスに行かなきゃダメでしょう」って思うようになった。だったら、しょうがない。本場に行ってお力借りなきゃいけないね、ということになった。
でも、全部それをやっちゃダメなんですよ。
【最終話・矢沢永吉】やっぱり大事なのは積み重ね
普段からトレーニングはやってます。ボイストレーニングもしてるし、身体の調節もしてる。背中の調節、足の調節、喉の調節。調節だらけですよ。
いざ、ステージに上がった時には、武道館だったら1万人、東京ドームだったら5万人を相手に、「こいつら、全員ぶっ飛ばさなきゃな」って思う。
そうやって最高のショーをやる。
秋からは全国ツアーも始まります。今年もまた街から街に行くんで、ヨロシク!
連載「イノベーターズ・ライフ」、本日、第1話を公開します。
(予告編構成:上田真緒、本編聞き手・構成:柴 那典、撮影:小田駿一、バナーデザイン:今村 徹)