米利下げ・円高なら日銀はどう動く?追加緩和に必要な配慮と手段
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6つの手段が示されていますが、下に行くほどハードルが低そうな気がします。
まあ、いずれにしてもBOJが緩和余地が最も少ないと市場で認識されていますので、世界的な金融緩和局面では円高になりやすいですよね。単純化したnutshell解説です
(1)マイナス金利深掘り
現在の短期金利誘導−0.05〜−0.06%程度→マイナス幅拡大
・効果:金利が(短期も長期も)全体的に下がる
・弊害:銀行の収益が更に圧迫され、金融システムのリスクは増加
・解説:融資市場は基本的に貸出金利下げ競争が生じる構造。しかし既に貸出金利は無いに等しく、貸出先は不足状態。単純化すると「貸出金利=調達コスト+貸出先の信用リスクに見合うマージン」ですが、今も既にミドルリスクの貸出先に対するマージンが取れていない状態にあります
(2)10年物国債金利誘導目標の引き下げ
長期金利(10年物国債)目標0%程度→引き下げ
・効果:(1)とセットでなければイールドカーブのフラット化が進む
・弊害:(1)同様金融機関の収益を圧迫
・解説:イールドカーブというのは、イールド(年利)を縦軸に取って、翌日~1年後~10年後~20年後満期といった満期までの長さを横軸に取り、各リスクフリー資産の年利をつないだ折れ線グラフ。通常、イールドカーブは右肩上がり(満期が長いほど年利も高い)。もっとも、イレギュラーな市場の期待が形成されている場合には長短イールドが逆転することもあります。フラット化というのは、超低金利が今後長期間継続されるだろうという市場の期待と言えますが、資産運用の基本である、短期で借りて長期で運用する利鞘がとれなくなります
(3)10年物国債金利変動幅の拡大
10年物国債金利の変動許容幅(+/-0.2%)を広げる
・実質的にフラット化容認
(4)量の拡大
量的緩和の度合い(長期国債保有残高で年30兆円)→拡大
・既に保有額が巨大であり、将来的に縮小したいので、あまり取りたくはない
(5)ETF買入れ増額
上場投資信託(ETF)の買入ペース年間6兆円→増額
・国債とETFの違いに、国債はいずれ償還されるのでいずれ保有額は減るが、ETFは売却しないと減らない点があります。ETF購入は日銀による直接的なリスクマネー供給ですが、既に日銀は株式市場で「池で泳ぐクジラ」(何をしても影響を与える存在)化しており、購入売却いずれも株式市場への弊害あり
(6)フォワードガイダンス強化
「当分の間、少なくとも2020年春ごろまできわめて低い長短金利の水準を維持する」→もっと先に設定
・現実的。インパクトは小さそう