【実名告白】当事者が明かす「老後2000万円不足」の真実
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縦割り行政の弊害、国民の不安を煽って誰も得をしない年金制度を政争の具にしたがる政治家とメディアの害、が表れた事例に思います。
報告書については、金融庁の意図に軽率な部分は無かったでしょうか?。将来の生活資金の不安に対しては、政府全体として本質的な対応をしていくことが必要で、それが国民から暗に期待されていると思います。だとすると、金融庁単独で、“だから長期投資しましょう”という報告書を出すのは我田引水感が否めません。長期投資の普及を目指すことに異論はありませんが、不安に駆られるのではなく、未来に期待した長期投資家を増やしていく道を考えていきたいです。
>本当に絵空事ではなく、みんな90歳を超えて、100歳近くまで生きる世の中になります。長く生きれば、当然それだけ必要なお金が増えます。
>そこで、必要なお金が増えた分は、やっぱりきちんと増やしていくしかないですよね。方法はありますよという内容です。
>誰でもできる行動規範があるので、それをしっかりまとめました。
>具体的に言うと、長期・積立・分散投資の実践です。それを前提にして、特に現役世代は、それ(長期・積立・分散投資)をしっかりと続けていくことで、お金を育てるということです。
注目のコメント
一昨日の日経QUICKのイベントで中野さんとご一緒したのですが、中野さんが事前の打ち合わせ後、登壇ギリギリの時間まで取材を受けている姿が強く印象に残っています。
取材する側が「結論先にありき」だと、発言の一部を切り取られて報道されてしまいます。そのような場合には、報道後に抗議をしても効果はなく、取材を受けること自体がリスクです。中野さんが、報告書に関わった委員の一人として説明責任を果たそうとする姿は、立派だと感じました。
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確かに、中野さんが指摘する通り、今回の報告書は次のようなロジックになっています。
(1)豊かな老後の生活に必要な資金は一人ひとり異なる
(2)現在の豊かな高齢者の平均値から単純に試算した一つの目安は、2,000万円
(1)と(2)が一続きの文章になっているのに、(2)だけ切り取られて報道されているケースが多い印象です。
また、報告書では、資産運用だけが解決策だとされているわけでもありません。働き続けるという選択肢もあるとされています。
(ただし、定年退職時にまとめて2,500万円を確保する(数年前の退職金の平均額)という選択肢は、現在の現役世代にとってはあまり現実的でない、とも指摘されています。)
私たち一人ひとりの生活が影響を受ける重要なテーマだけに、冷静な議論が求められています。公的年金と私的年金(企業年金・個人年金)、そして非課税貯蓄制度(NISA)。これらが、省庁縦割りで全体的な制度設計ができていないことが、よくわかる。制度横断的な議論が不可欠。
金融審議会でこれらを受け持てるほどの、権能は与えられていない。
これらを制度横断的、省庁横断的に議論するには、これらを横断的に扱っている税制をテコに議論するのがよい。公的年金では、基礎年金給付の財源の半分が税である。私的年金と非課税貯蓄は、どれだけの非課税拠出枠を与えるかが焦点。そして、公的年金と私的年金の給付には、給付時の課税を減じる公的年金等控除がある。
これらの仕組み全体を理解せずに、金融庁の所管するところだけ議論していても、埒が明かない。麻生大臣から受け取りを拒否された金融庁報告書の取りまとめに関わった中野晴啓・セゾン投信社長にインタビューしました。「消された報告書」は選挙や政局が生み出したものですが、根本的な原因は我々メディアや世論かもしれません。
「老後2000万円不足」というキャッチーな数字を使った犯人探しに逃げずに人生100年時代の社会保障、そして老後の資産形成をどうしていくのか、本質的な問題に、向き合う必要を感じた取材でした。
追記
受理されないことによってなかったことになった報告書ですが、金融庁ホームページからは消されていません。長くはありますが、お時間ある方は読んでみて、改めて各社の報道をみると、ニュースがちょっと違って見えてくると思います。
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf
6月よりNewsPicks編集部にジョインしました。どうぞよろしくお願いします。