この連載について
2019年も決算発表の集中期間が終わった。企業決算の経済ニュースを読んで、独特な専門用語にとまどったことはないだろうか。決算書を読むには、会計や簿記などファイナンスの知識が必要だが、実はそこまで難しいものではない。ファイナンスの知識が少しでもあれば、決算書や経済ニュースはさらに深く理解できるようになる。さぁ、今年こそ「ファイナンス脳」を鍛えよう。
この連載の記事一覧

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https://newspicks.com/news/3106388/
よりターゲットとなる読者を広げたからだと思いますが、個人的には、前回の記事の方が理解しやすかったです。
例えば営業利益は事業モデルを考慮せずに業界またいで横比較してもあまり意味がないとの認識です。また、PL上の利益を出さずに成長し続けている企業が総じて悪く見えてしまうのはあまりいただけないかなぁと。このあたりは今後の記事で回収されるのかもですね。
企業の比較も、前バージョンは任天堂、東芝、シャープ、トヨタ自動車、ソフトバンク、マネーフォワードといった顔ぶれで、財務諸表から企業の実態を想像する練習としては、秀逸な取り合わせだったと思います。
とはいえ、今回の記事も会計に全く取っ掛かりのない人にとっての入門編としては十分だと思いました。(なんか上からですみません・・・)
主人公のヤマダくんと先生役のロボットが絶妙なので、今回のコメント欄で好評だったら、学ぶ系のインフォグラフィックコンテンツをシリーズ化したいな、なんて思っています。会計・ファイナンスものの中級編もありですし、経済学とかも面白そうです。
実は、財務3表のインフォグラフィックについては、昨年も頑張りました。見比べていただいても面白いかもしれません。
■NewsPicks編集部オリジナル記事
「【新図解】知識ゼロから学ぶ「財務3表」のすべて」(2018年6月20日付)
https://newspicks.com/news/3106388/
【財務三表はつながっている】
例えば自動車を現金で買ったとして、数年使うとする。この場合、これはどう計算するのがよいか?
買った瞬間に現金が出る。これはBSでは現金が自動車に代わる(資産の種類が変わる)、そして投資なので投資CFでそのお金が出る。でも数年間使うのだから、使う分だけ毎年費用としてPLで減価償却費用を計上する。また使うほどに中古価値は下がるので減価償却費用分だけ資産を減らしていく。
こんな感じに、三表はつながっている。
【BSは「誰の権利」と「時間差の吸収」】
BSは、本記事にもあるように資産がお金をどう使っているかと、負債・純資産がそのお金をどう集めたかというのが一般的な説明。ただ個人的には最近は「誰の権利」という言い方の方がしっくり来ている。
というのは、企業間の取引では「ツケ」(売掛金・買掛金)が多い。これはお金を集めた・使ったというより、自分に権利があるのか、相手に権利があるのか。
そして、「ツケ」は時間差だし、上記の車を買った時の資産計上と使用する期間、減価償却も時間差。こういった時間差をBSを使って吸収する。
【資産計上されない資産がある】
例えば広告を打ったとする。広告は費用でPLには計上されるが、資産にはならない。でも広告で使い続けてくれるか、それとも一瞬使って終わりになるかで効果は全く違う。
会計ルール上、資産になっていないがこういう実質的な資産がある。資産なのだから価値が存在し、それが顕在化するのが買収。それが「のれん」というものが発生する背景。でも思ったほどその価値がないと「のれん減損」というものも発生する(昨日の日本電産でも出てきた言葉、日本電産はそれがなく適切に買えているということ)。
記事に加えてコメント欄も!また昨年の同様の特集(①)や、以前SPEEDA総研(②が5回連載の一回目)でやったものも併せてご参照いただきたい。
①https://newspicks.com/news/3106388/
②https://newspicks.com/news/1027661
中古マンションの価格変動もアプリでわかる時代ですので、減っていくローンの残債と変動するマンション価格によって、いまの状態が債務超過なのか、含み益が出ているのか、負債比率がどのくらいなのかなどがわかります。
PL的に我が家の決算を考えるだけでなく、「自分BS」で財務状況を確認することに慣れていくのです。
結果、財務三表もマスターしてしまうのでした。
営業利益率が優良企業の指標になっていましたが、業界・業態によって水準は異なるのでその点はやや違和感がありました。
AとBを反応させて、Cを得る。副生成物としてDができるという反応を考えます。
一回の反応でどれくらいの量のC、Dが生成するか(素反応の転化率、選択率とその掛け算としての収率)を書いているのが、PLに相当する。AとBが原材料費や諸経費で、Cが製品。(あれ、事業における副生成Dは、何だろう、とイキナリ少し躓く)
反応の前後で各成分の物質量や重さ、体積がどう変化するのかを議論するBS。奇しくも、化学でもこれは「マテリアルバランスシート(マテバラ)」と呼んでいて、反応の前後で物質量が保存されるのは、BSの右と左が同じになるのと似ている。
研究段階だと収率(PL)で議論できるけど工場に持って行くときはマテバラ(BS)を書いてないと議論にならないのもそっくり。
反応にかかる時間を考慮に入れるのがCF。CFをイメージするには、AとBからCを作った後に、さらにCをEに変えるとか、余ったAとBをもう一回再利用する、みたいなプロセスを想定した方がしっくり来るかもしれない。原料のリサイクルが容易な系では、反応時間をかけて、転化率を上げて選択率を落とすよりも、転化率を低めにして選択率を高めた方がいい、みたいな考え方はキャッシュコンバージョンサイクルを小さくする考え方と似ている気がしている。
減価償却ってなんだっけ?とかもこのアナロジーでいい感じに理解できると期待しているが、そこはまだ勉強中。
ちなみに、公認会計士の試験に受かっただけではファイナンス脳にならないと思います。
やはり、実地作業で知識を使わないとダメです。
だから、実務経験がとても大切です。
数字と解釈がセットになってはじめて会計を学ぶことになるのかなと思います。