キッザニア創業メンバーの次なる挑戦。テーマは「自然と子ども」

2019/5/1
豚と会話する男
裏山に、見たことのないほど巨大な豚がいた。牛よりも断然太く、大きい。大人がふたりぐらい背中に乗っても大丈夫そうだ。僕(筆者)が「で、でかい!」と驚きの声を上げると、油井元太郎はほほ笑んだ。
「彼女はラバーという名前です。4歳ぐらいで、まだ若いんですよ。母親はもっと大きかったそうです。豚は半年ぐらい生きると、100キロになるんで、だいたい生後1年で出荷されるんですね。だから、普通の人は4歳の豚を見たことがないんです。
すごく短命で、かわいそうな動物なんですよね。でも豚ってすごく頭いいし、犬みたいでフレンドリーなんですよ」
そう言われて、ハッとした。そうか、僕がイメージしている豚は、生後半年の幼児だったのか。豚って賢いのか。
油井は言葉を続ける。
「僕らも養豚していて、去年の秋、ほかの豚を出荷しました。ここにいる間は、のびのびと生きてもらいたいと思って、放牧しています。地面にはおがくずを敷いてるので、豚のうんちはぜんぶ肥料になるんですよ。
2歳ぐらいまで育てた豚は、だいたい1頭で1年分、この施設で子どもたちや滞在する人に出すお肉になります。そういう形で、みんなで育てた豚の命を頂いているということを感じてもらいたいと思っています」
僕らが話をしている間も、ラバーがブヒブヒとしきりに鳴いている。
その声に「ラバー、どうした? 今日、暖かくてよかったね。やっと春になってきたね」と返す油井。
ここは、「自然とともに生きる暮らしを体験すること」をテーマに掲げる子どもの複合体験施設「モリウミアス」。
油井は、2015年の夏にオープンしたこの施設の創業者だ。
居心地が悪かった日本
東京から電車と車を乗り継いで約5時間。リアス式海岸が入り組む石巻市の雄勝町にモリウミアスはある。