【独占】全ての植物を科学する、「食のデータ企業」の正体
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世界最先端フードテック企業10選のベースフードの橋本です。
フードテックの定義は、従来の食品会社のノウハウやリソースとの断絶がある技術(テック要素)を持つこと、と言えます。
テック要素は、IT企業では、従来の企業の持たないIT技術を指す(狭義)、一方で、フード領域では、従来の企業の持たない技術全体を指します(広義)。
例えば、従来の大手食肉加工会社は、肉を使ったハンバーグを作るためのノウハウやリソース(工場等)を積み上げて競争優位性としていますが、培養肉や植物肉が主流になると、その競争優位性を失います。また、食品はEC化率が低いので、TVCMを打ってスーパーやコンビニの棚を営業部隊が抑える、という集客販売体制を築いていますが、ECやデジタルマーケが主流になると、その競争優位性を失います。鶏卵を使わずに「マヨネーズ」、ドレッシングからさらに「卵ゼロの卵」を作るJUSTの研究室を取材しました。フードテックというとおり、データを最大限に活用して食の可能性を探ろうとしていることがよくわかります。
重要なのは誰でもが手に取れる価格、おいしいと感じる本物の味。この二つを両立させるべく研究が進められていました。
また、植物性100%の代替商品、「培養肉」といったものを普及させるには、消費者のイメージもとても大切。「培養肉」はアメリカでここ数年「クリーンミート」と呼ばれることがとても多くなっています。「クリーンエネルギー」のようなポジティブなネーミングが出ているのも、新たなフードテック企業が増えてこういった流れを作っていることの表れなのだと思います。
ちなみに、JUSTは日本企業とも提携をして商品開発を始めています。それが脂身のたっぷりのった高級和牛です。(群馬県渋川市にある鳥山畜産食品と提携)鳥山畜産食品が飼育した「赤城和牛」の細胞を培養して、霜降りの高級和牛を研究室から作ろうというのですが、あの立体的な牛肉の再現を最終的にどうするのか気になるところ。
数カ月後には初めてサンプルができる段階だとしていて、そこからさらに改良を加えていく予定だそうで、是非試食してみたいです。ここまでのデータ分析と試行錯誤をかさねながら目指しているのが「卵みたいな豆たんぱく質」「鶏肉みたいな培養細胞」というのが人間の業(ごう)を感じます。
そこには認知の壁があって豆たんぱく質で十分に代用できる栄養素がありながらもあくまでも「見た目」「よく見るアレ」に似せることが重要。つまりフェイクに膨大な労力が割かれているように見えるからです。
私たちは子どものころから見慣れ食べ慣れたものを美味しいと感じるし、逆にそうではない唯の栄養価の高いタンパク質では商品としてゃダメなんですね。
しかし、コスト削減を考えるならば別に似せなくても栄養たっぷりの何かの塊を新たに作り、子供のころから食べる習慣があれば(私たちが黒い炭酸水を美味しいと感じるように)、わざわざ似せなくてもいいのかもしれません。