「ABC」でランク付けする日本の評価制度が若手を腐らせる - 人事で読み解く最強企業の秘密
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「なぜこの違いが生まれたのでしょうか。実はアップルでは、この600人に対して2年間、個人の目標を設定しなかったといいます。iOSXを開発するというチームの目標だけを持たせて、全員で共通の目標を追いかけさせたというわけです。すると、全員が協力し合って、とにかくiOSXを開発することだけに向かって仕事し、自分の仕事が終わったら、他の人の仕事を手伝う様子が自然に発生するようになりました。一方、マイクロソフトでは、1万人が、通常通り個人の目標に沿って開発を進めました。すると、「自分の分は終わった」社員は、その他の人の担当分を手伝う流れにはならず、生産性はそれ以上高まらなかったのです。」(記事引用)
この記事では、人事制度の設計と運用の違いとして語られているが、それだけでこの大きな違いが生まれるとは思えない。アップルにあってマイクロソフトになかったもの。それはOS開発の「物語」だったのではないか。「すごいものを自分たちが一丸になって作ろう!それで世界を変えてやろう!」。こういうストーリーがあった上で、個人目標をなくしたのがAppleだったのだと思う。一緒にやり遂げる物語があるとき、人はその登場人物なった主体的に自律的に動き出す。日本で評価制度がイマイチなのは、評価の対象が曖昧なことに尽きます。
目標とその実現過程で何を重視するのかなど、組織が目指すものとその実現に向けて重視する価値を明確に示して浸透させていないと、評価しようにもバラバラになって結局よくわからないものが出来上がります。
何を評価したいのか、評価によってどのような効果を期待するのか。これらが根付いていない状態でノーレーティングを入れたら余計に混乱するだけになります。
日本型組織では評価することにも評価されることにも慣れていないことが問題です。ノーレイティングを機能させる条件として、以下の3つが示されている。
(1)上司と部下が頻繁に評価面談を行い、目標に対する達成度合いを記録すること
(2)管理職に部下の報酬額を決定する権限と原資が配分されていること
(3)目標管理制度によって社員の目標がきちんと定まっていること
日本での問題は(2)です。アメリカと違い等級制度が残る日本では、専門性よりも組織適応性が重視される。
またそもそも、自分の部下の給料を知らされていない管理職が多いので、改善の道のり遠すぎるという難点もある。
そして、人間の能力正規分布していないのに、あえて学校と同じ5段階評価で配分管理をしている企業ほとんどである。
まったく自然の摂理に従っていないから、生産性上がったら奇跡である。
正しい評価すべきという呪縛から逃れて、納得性を高める制度を必死で考えた方がぜんぜん良い。
人事評価の本質は、「組織的多面的主観評価」以外の何物でもないからです。
絶対評価軸で人間を評価しなくて良くなれば、主観と意見飛び交う健全な組織になりますよ。放っておいてもね。