【告白】元高級官僚が語る、ふるさと納税「暴走」への悔み

2019/4/9
ふるさと納税が混迷を極めている。
昨年ふるさと納税の返礼品にアマゾンギフト券を揃えた静岡県小山町は、実に約250億円という寄付金を集めた。
またPayPayよろしく、大阪府泉佐野市は、総額100億円のアマゾンギフト券の還元キャンペーンをして一時、サイトが繋がらなくなるくらいアクセスが集中した。
ふるさと納税で寄付をすれば、アマゾンギフト券はもらえるし、地方の名産品ももらえる。お得な事ばかりだ。
しかし、そんな甘い話は、長くは続かない。
3月27日、ふるさと納税の返礼品を規制する改正地方税法が可決・成立し、対象自治体が今年6月から事前審査制になることが決まった。
アマゾンギフト券など豪華な返礼品や、過剰な宣伝をする自治体は、対象外となる。つまり納税者は、こうした自治体に寄付をしても、税金が控除されなくなることとなった。
が、これで一件落着、ではない。
というのも、そもそも寄付とは、対価のないものを指すはずだ。それがふるさと納税の場合、目的は返礼品という対価そのものであり、肉から米、カニなどの商品を選ぶ、いわば“官製ネット通販”というのが実態だ。
「返礼品は寄付額の3割以下にせよ」といったルールを今回策定したこと自体、対価である返礼品を認め、“通販”を続けるということになる。
ふるさと納税は、10年前に総務大臣だった菅義偉・現官房長官が「生みの親」という“オトナの事情”がある。総務省や財務省はもともと大反対だったものの、強い人事権を握る菅氏には、表立って逆らいづらい。
そこで、なんとかこのゆがんだ制度をあるべき姿に軌道修正しようと、総務省も躍起なのだ。ということは、NewsPicksが昨年来、どこよりも先に詳報してきた通りだ。
そして実は、かつてこのふるさと納税制度に反対意見をして菅長官に干された、といわれる人物がいる。
平嶋彰英。ふるさと納税を管轄する、総務省自治税務局の局長を務めていた元高級官僚だ。
NewsPicks編集部は、平嶋氏への独占インタビューに成功した。平嶋氏は、総務省自治税務局長の役職を離れた後、自治大学校校長を経て、立教大学経済学部特任教授に転身した。現在は脳梗塞に倒れ、リハビリ生活を送っている。
そんなさなかにあってインタビューを受ける決意をした彼は今、何を語るのか。初めて明かされる、ふるさと納税の真実をお届けしよう。
平嶋彰英(ひらしまあきひで)/1958年福岡市生まれ。1981年東京大学法学部を卒業後、自治省(当時)に入省。その後自治財政局、税務担当の大臣官房審議官などを経て、2014年7月から自治税務局長を務める。2015年7月に自治大学校校長に就任。2017年に総務省を離れる。現在、立教大学経済学部経済学研究科特任教授を務める。

「答える責任」が、私にはある