個室観覧席で極上体験。VIP席から膨らむ球団の価値
2019/3/31
横浜DeNAベイスターズが球団創設70周年を迎える2019年、本拠地の横浜スタジアムに新しい光景が加わった。
地上31メートル――バックネット裏に新設された「THE WING BACKNET」の屋上に上がると、眼下では迫力あるプロ野球の攻防が繰り広げられ、視線をバックスクリーンの向こうに移すとみなとみらいの未来的な景色が広がっている。
「みなとみらいの高層階からこちらの旧市街を見る風景はありましたけれども、横浜の中心のモニュメンタルなスタジアムを前景として、その背後に新しい市街地のみなとみらいが広がるのは新たな風景の発見であり、創造であると思っています」
美しい光景を背に、岡村信悟社長はそう語った。屋上スペースをどう使うかは、シーズン後半戦までに決められるという。
エレベーターで3、4階に降りると、高級ホテルのようにシックな雰囲気の個室が30部屋ある。新設された個室観覧席、いわゆるVIPルームだ。飛騨牛入り特製スター巻きやお寿司をつまみ、広々として快適なバルコニー席からベイスターズのプレーを眺めるのは、野球好きならずとも極上の時間だろう。
野球をビジネストークのさかなに
プロスポーツやエンタメビジネスにおいて、VIPの取り込みは大切な要素とされる。富裕層が自らお金を出してでも行きたいと思うほどの魅力があることの裏付けで、相乗効果でエンタメコンテンツやベニューの価値が上がっていくからだ。
昨季までハマスタのVIPルームは5部屋だった。それが今季30部屋新設され、一気に7倍となった。
すでに法人向けに8割が年間契約され、残りは一般観戦客も対象に発売される。8人部屋が1試合30万円、10人部屋が40万円で、最も広い16人部屋が50万円。20試合、30試合……と購入試合を増やせば、1試合あたりの単価は下がるという。
ハマスタのチケット収入全体の割合で言うと、VIP席が占めるのは約10%。事業本部営業部の鐵智文部長は「収益のドライバーになるかはまだ未知数」とし、VIPルームの意味合いをこう説明した。
「対法人の切り口としては球場に看板を出していただくとか、ベイスターズがイベントをやるときにご協賛いただくことしかなかったのですが、その幅が広がりました」
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この連載について
2012年から新球団としてスタートし、4年連続で観客動員増を達成している横浜DeNAベイスターズ。好成績を残し続ける球団経営術について掘り下げていく。
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