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【教養】ソーシャルを操る男、「仏教のビンラディン」の正体

NewsPicks編集部
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    静岡県立大学国際関係学部 准教授

    スリランカにしてもミャンマーにしても、「急増するイスラム教徒」というのは、実際の数字に基づいた理解ではありません。総人口に占めるムスリムの割合が増えているにしても、せいぜい、10年で1%といった程度です。実態とはかけ離れた数量やイメージが流布していくのは、やはりSNSが大きな役割を果たしています。それは、アジアに限らず、欧米でも起きていることです。
     SNSができる以前から、「~人/教徒が急増してこの国を乗っ取ろうとしている」というのは、昔から洋の東西であった虚像です。ユダヤ人についても、実際の人口とはかけ離れて、こういう虚像が盛んに流布されました。近代になって、この「急増する~人/教徒」のイメージは急速に人々に大きな不安を与えうようになりました。近代国家とメディアによるものです。それ以前は、大多数の人々にとって、自分の村や街区とその周辺が、世界のほぼ全てでした。ユダヤ人やムスリムの商店が隣村にある、程度のことは知っていましたが、さほど問題視しませんでした。
     近代国家になると、国勢調査と選挙が行われ、メディアで数字が広がります。ユダヤ人やムスリムは総人口の5%である、我が国の文化や学術、経済で彼らは大きな役割を果たしている、自分の選挙区の代議士はムスリムである、といったことが知らされます。それは多くの人々が知っていた世界とは異なるものでした。
     ミャンマー(ビルマ)でも、選挙のたびに暴動が起きて、それから何十年も選挙は行われない、ということがありました。「こんなにムスリムがいるはずがない、陰謀だ」というので、仏教徒が近隣のムスリムの村を焼き打ちに行きました。それを煽動する政治勢力や宗教者もいます。
     自分の国の人口構成を知って、ショックを受ける、というのは近代ヨーロッパでもあったことです。ただ、そこから暴動や虐殺に広がるのを防ぐためには、何重もの措置を普段から張っておく必要があります。教育も経済政策も、メディア統制や宗教統制も行われてきたし、中東やアジア諸国でも、おおむね行われています。そういった措置を怠ったり、暴動を政治利用しようとする政治・宗教勢力に好き勝手にさせるべきではないのですが、そういった勢力が時に政治を恣にします。予防措置では、NGOや宗教団体も参加できますが、やはり政府が積極的でないと難しいです。SNSは、いずれの場合でも、その道具に過ぎません。


  • 記者、ディレクター

    急進派の仏教集団「マバタ」のウィラトゥ師にフォーカスしましたが、実はこの流れはスリランカ、ミャンマーだけには止まりません。

    日本人にも馴染み深い国・タイでも、マレーシア国境に近いイスラム教徒も多く住むエリアで、仏教徒とイスラム教徒の対立が長年続いています。

    今回、未来の予測データなどマクロ的な視点と、市民の心の奥底を探るというミクロの視点とを掛け合わせて、少しでも宗教という摑みどころのない深く大きい課題を、出来る限り身近に捉えるきっかけになればと取材をしましたが、まだまだ掴みきれないことだらけでもあります。

    ドキュメンタリーに登場した、息子を亡くしたイスラム教徒の父親の言葉、「私は犯人を憎まない、もう赦しています。イスラムの教えは平和なのです」。これは、ニュージーランドのテロで妻を亡くしたイスラム教徒の男性が言った言葉と同じでした。信仰というものは想像を遥かに超えるもので、きっと永遠に全てを理解することはできないかもしれません。

    ただ、一つ最後に忘れずにいたいのは、過激な思想が加速して起こる負の側面ばかりでなく、この記事の最後に登場した、融和を求める多くのサイレントマジョリティである仏教徒とイスラム教徒の存在、彼らにこそ希望の光を見出していければと思います。

    追記:
    今回の記事には勿論全てを盛り込むことは出来ないので、特にテーマを絞って執筆させて頂きましたが、スリランカ内戦に関しては、アジア経済研究所の『内戦終結後のスリランカ政治―ラージャパクサからシリセーナへ』の情勢分析レポート、JETRO分析他、南アジアや過激派テロ対策専門の教授など多数参考にさせて頂きました。

    記者は研究者ではないので論文を書くのではなく、あくまでどうやったら硬い話題をいかに噛み砕いて皆さんにお届け出来るか、膨大な情報と分析から1ミリを抽出する作業でもあります。過去の内戦に関しては、激戦地だった北部ジャフナまで行って取材をしておりますが、今回の記事とはテーマが異なるため盛り込み切れていないことご承知戴けましたら幸甚です。地味な記事でしたが読んで頂き、心より感謝致します。


  • NewsPicks CXO

    パソコンを経ずにスマートフォンでインターネットに接続されたミャンマーやスリランカの人々にとって、Googleで検索するより流れてくるFacebookのタイムラインを眺めている、というのは合点がいきます。

    そして昨日の第二回でもあったとおり、ユーザーを増やすべくデザインされたFacebookというプラットフォームは、「人々の興味を引くもの」をプロモートしていくように設計され、故にネガティブな感情を引き出す投稿が高いエンゲージメントを生んでいる、というのも恐ろしい話。

    全3回、改めて学びの多い特集です。ぜひご一読ください。


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